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続・チビのこと
7月からピサヌロークの下宿の部屋にやって来ていたネコのこと。
私はこのネコのことをチビと呼んでいるが、下宿のオーナーはチャカチャンと呼んでいるそうだ。
チャカチャンとはタイ語でセミという意味。

段ボールで爪とぎ
[ベッドの下には段ボールを敷いて、爪とぎ用にしている]

下宿のネコということになっているけれど、ここの家人たちはネコを飼っているという意識はあんまり無いようで、この下宿で生まれた仔猫なんかも、どこへ消えてしまったのかわからないうちに減っていくし、そのうちまたどこかから拾ってくるのか迷い込んでくるのか、見かけないネコが増えている。
そんなネコたちの中でも、このネコは特に私になついて、夜はほとんど一晩中私の部屋の中にいる。
そんなわけで、私がイギリスへの旅行などで一週間ほど下宿を留守にしている間、ずっとこのネコのことが気になっていた。
私がいない間、下宿のメス猫たちにイジメられてないだろうか、ちゃんとご飯は食べているだろうかと。
結局、そうした懸念は杞憂に終わり、久しぶりで下宿の部屋に戻って数時間後には、嬉しそうにネコは私の部屋へ訪ねてきた。

ネコの我が家
[もうずっとここに住み着いているような態度]

それからと言うもの、ますます私の部屋から外へ出たがらなくなった。
部屋には砂箱、つまりネコ用のトイレを用意していない。
このネコのトイレは下宿の外へ行って用を足しているらしいのだけれど、夜中など外から大きなネコの鳴き声や悲鳴が聞こえてくることがよくある。
だいたい、ネコがトイレに立って、外へ出た時に他のメス猫と遭遇してしまってのことらしい。

階段で待つ
[私の帰りを階段で待っている]

私は8月末にはピサヌロークを引き払い、バンコクへ異動になる。
このネコを連れていくかどうかで悩んだ。
仮に連れて行ったとしても、年明けの1月末にこんどは日本への本帰国が待っている。
タイは狂犬病蔓延国なので、ネコを連れ帰るには検疫関連で厳しく、面倒で、そして時間のかかる手続きが必要になる。
マイクロチップの埋め込み、二回の予防接種、抗体検査、そして180日間の保留期間。
単純計算でも最短で7カ月かかる。
1月末まで5カ月しかないので、タイムオーバー。
日本の空港検疫で不足する2か月間を留め置きさせるというのも不憫。

ノビノビ
[部屋の中では警戒心がなくなっている]

日本の検疫所で留め置き以外に、7か月後以降に私が再びタイへネコを迎えに来てやるという方法も考えた。
2か月間、タイの誰かにネコを預かってもらえば、ネコもそれほど不憫な思いをしないで済むのではないかと。
しかし、下宿のオーナーと話をしていたら、そのプランも無理そうだとわかった。
オーナー曰く、このネコは妊娠しているとのこと。

食欲旺盛
[お腹に子供がいるからか食欲が旺盛]

妊娠しているということは、遅かれ早かれあと1、2ヶ月もしたら仔猫が生まれてくる。
そうなると、その仔猫の貰い手を探さなくてはならない。
ネコをもらってくれる人なんて、そう簡単に見つかるもんじゃない。
探すのに苦労しないんだったら、真っ先のこのネコを飼ってくれる人を探しだしている。

仔猫まで日本へ連れて行くのはさらに困難。
生まれてすぐにチップを埋め込んだり、ワクチン接種と言う訳に行かないし、小さな仔猫から抗体検査用の血液採取も危険。
1年くらいかかってしまいそう。

冷蔵庫の前で
[私のネコもよくこんなお道化たポーズをしたものだった]

調べてみると、ネコは出産するまで中絶手術を受けさせることが可能らしい。
人間のように何か月と言う縛りがないとのことだが、子供が大きくなってからの堕胎は、大きな手術になってネコの負担も大きいらしい。
それに、中絶などさせることは、私としては大変不本意。
胎児の処分だって、ゴミ箱へと言う訳に行かない。

バンコクへの異動まで、あと1週間を切って、にっちもさっちも行かなくなったけれど、ネコは私の下宿の部屋を安住の地と心得てしまったようだ。
このところは出産準備のためか、タンスの中とかにやたらと入りたがる。
これはネコの本能なんだろう。

結論は8月26日に出た。
私がネコをもらってくれる人を困難だけれど、タイと言う土地ではお金さえ出せば買えないものはないとさえ言われている。
お金を出してネコを飼ってくれる人を探してもらった。
この仲介者へ5千バーツ。約2万円少々。
ピサヌロークのような田舎町では、これでもちょっとした金額。
しかし、たぶん中絶手術の費用と同じくらいだろう。
そして、飼ってくれることになった人にも5千バーツということで、簡単にネコの行き先が決まってしまった。

車に乗る
[受け渡し場所のオフィスまで車に乗る]

斡旋された人はまだ学生で、ピサヌロークの隣りビジット県にある実家はネコ好きで10匹近く飼っているという。
ちょっと不安ではあったけれども、もうタイムリミットが近づいている。
彼を信じて、ネコを託す。
当面一週間は毎日ネコの写真を撮って送ってほしい、その後も時々連絡がほしいと書面に書いて渡す。
実家と言うのは農家だそうで、そこには彼の兄と母がいるそうだ。
だいぶ奥の方に入ったところで、ピサヌロークから100キロ近くも離れているが、彼はネコをナップザックに入れてバイクで実家へと走って行った。

里親
[彼が新しい里親になってくれる]

本当に大丈夫だろうかと、気になって仕方がない。
無事着いたとかの連絡の一つもほしいところだけど、催促して良いモノだろうかと悩む。
夜になってから、ネコの写真が送られてきた。

びっくり顔
[新しい環境に放り込まれ、びっくりしたような顔をしている]

次の日も、日曜日ではあったが、ネコのことが気になって休んだ気がしない。
夕方になっても連絡がなく、イライラも募ってくる。
こっちから電話をかけたけれど電話に出ない。
お金で飼い主探すなんてダメだったんだろうか、お金だけもらったら知らんぷりなんだろうかと余計な方向へ考えが行ってしまう。
夜になって、やっと写真一枚が送られてきた。
「これから夕方までに写真を送ってほしい」と依頼する。

リラックス
[少しは落ち着いてきたようだ]

月曜日、まだかまだかと待っていたら5時頃になって写真が届く。
いちど訪ねて行って、実際この目でどんな家で飼われているのか、他のネコたちとの相性はどうなのかと確認さえできれば私の精神状態も落ち着くんじゃないかと思う。

美人ネコ
[こうしてみるとなかなかの美ネコだ]

火曜日は、午前中に写真が届く。
他のネコとも、仲良くやっているとのこと。
だんだん新しい環境にネコは慣れていってくれているようだ。
むしろ私の方がネコのことで振り回されないようにしないと。

寝ぼけ顔
[なんだか寝ぼけたような顔をしていて、光の加減か目が青くなっている]

水曜日、名前はカプチーノになったそうだ。
少し白みがかった茶色だからだろうか。
名前まで付けてもらったからには、もうすっかりそこのネコに成り切っているのだろう。
中絶まで考えたりしたけど、子供が生まれたら見に行ってみたいと思ってしまう。

下宿にて
[これはまだ下宿にいた時の写真]

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イギリス旅行 (後編)
8月14日 (月)

イギリス滞在も最終日。
目を覚ましたら外は朝から雨が降っています。
雨具も持参しているから雨でも歩き回ることは可能なんだけれど、今日は月曜日でボランティア運営のネイネイ渓谷鉄道はお休み。
このピーターバラでほかに見ておくべきところというのが地図を見たところで検討がつかない。

雨降り
[窓の外は雨]

8時になって階下へ降りてゆっくりと朝食にする。
メニューは昨日とおんなじ。
あのボリュームを2日続けて食べるのは食べすぎかとも思ったけども、根が卑しいので結局巨大なアイリッシュ・ブレックファストのプレートが運ばれてきた。
食べ終わってから、ソーセージやベーコンは抜いてもらったほうが良かったかななんて反省したりする。
また、私用のオレンジジュースとコーヒーは飲みきれなかった。
雨の日に水物をとり過ぎるとトイレが近くなってしまう。
しかし、イギリスの田舎町には公衆トイレというものがほとんどないことを昨日までに確認している。
自然公園にはキャンプ場があるのでトイレもあったし、ネイネイ渓谷鉄道の駅にも無料で使えるトイレがあって便利だったけれど、街中の公園とかにはトイレが見当たらなかった。

朝食
[二日続けてボリューム満点の朝食]

朝食を食べ終えて、アイルランド関連のものばかり張り出された壁を見ていたら、リビングへのドアにはアイルランド以外にも犬に関する文言がかかっていた。
"GUESTS MUST BE APPROVED by the dog"
宿泊者は必ず犬の許可を得よ
"Dogs Welcome CHILDREN MUST BE ON A LEAD"
子供はリードにつなぐこと、そうすれば犬は歓迎する

お犬様
[私は犬の許可を得て宿泊できた]

この宿にはでれんとクッションで寝てばかりいる犬がいる。
老犬であまり愛想がいいとは言えないけれど、ここのオーナーの大切なパートナーのようだ。
これでも一応は毎日散歩をさせているという。
歳は14歳とのことだったけれど年寄りも老けて見える。

イヌ
[私は滞在中この犬が寝そべっている以外の姿勢を見たことがない]

宿のチェックアウト時間は11時ということなので、それまで近所を一回りしてみる。
小雨が降ったりやんだりしているけど、肌寒いというとはない。

小雨降る中
[小雨は降っているけど、しっとりした感じは悪くない]

宿を出て少し歩いた路地奥でネコを発見。
ゴミ捨て場の近くにいて、ちょっと警戒心が強い。
近づくとすぐに逃げてしまう。
タイから持参したキャットフードを食べさせてやろうと取り出すが、食べ物につられて寄ってくるようなことはなかった。
このネコはひょっとしてイギリスの野良猫なんだろうか?

屋外ネコ
[ちょっと警戒心の強いネコだった]

このあたり通りによって、お屋敷が並ぶところと、中流の棟割住宅の並ぶところ、そして低所得者が住んでいそうなところと別れている。
一戸建ての家は前庭があり、生け垣があり、そして家の前の通りの歩道も広い。
家の1階には前庭に面して大きなガラス窓があるので、ネコがいないものかと横目で眺めながら歩く。
あんまりキョロキョロとしていたら挙動不審で通報されてしまうかもしれない。

中の上
[中の上あたりだろうか、前庭もある戸建て住宅]

次の通りは中流家庭の住んでいそうな棟続きになった住宅が並ぶ。
住居兼事務所のようになっている家もある。
この棟割住宅では煙突を眺めて歩く。

棟割住宅
[棟割住宅と言ってもタイのタウンハウスと異なり、各戸ごとに個性がある]

各家と家との境の屋根の上には煙突があり、チムニーポットがのっかっている。
チムニーポットとは筒状の煙突の吹き出し口で、このチムニーポットの数だけその家には暖炉があることになっているそうだ。
いろんな形のチムニーポットがあるし、その数を数えて、どの部屋に暖炉があるのだろうかと想像してみるのも楽しかった。

チムニーポット
[これがチムニーポット]

しかし、そうしてチムニーポットを見ながら歩いていたら、小学一年生だったかの時に見た映画、メリーポピンズを思い出した。
ストーリーとかは忘れたけれど、チムチムニー、チムチムニー、チムチムニーと歌いながら顔を煤で真っ黒にしながらブラシで煙突掃除をしているシーンが印象に残っている。
タイは当然としても、日本でも暖炉のある生活とは縁がなかったので、煙突なんてあんまり気にすることはなかったけれど、子供の頃の印象として煙突といったらサンタクロースがやってくる入り口だった。
煙突のない家でもサンタさんは来てくれるのかと考えたりしたものだけれど、チムニーポットを眺めながら今更もう一度考えてみると、こんな直径20センチくらいしかなさそうなチムニーからあの厚着をしたサンタクロースは入れるのだろうか?
イギリスの子供たちは、サンタさんが来てくれるかと心配にならないのだろうか?
イギリスではチムニーポットの印象が強いけれど、ヨーロッパの家の煙突はチムニーポットではないのだろうか?
今年は2回もヨーロッパへ行っているのに、記憶がない。

飾りネコ
[これはただの装飾なんだろうか]

ぐるりと宿周辺を歩いてから、部屋で荷造り。
ピーターバラ発3時過ぎの特急でロンドンへ向かうので、まだ4時間くらい時間がある。
小雨が降ったり止んだりなので傘は手放せない。
キャリーバッグを引いて歩き回るのは面倒なので、バッグはそれまで宿に預かってもらうことにして、チェックアウトする。

宿を出て、北西側に歩く。
別に目的地があるわけでもない。
時間があって、どこかでお茶して時間をつぶすなんてことができない貧乏性で、歩いていないと落ち着かない。
町の中にはバスやタクシーも走っているれど"Private Hire"と書かれた車が走っていたり、路肩に止まっているのをよく見かけた。
ハイヤーとはもともと貸し切りの車で、プライベートとわざわざ付けなくてもよさそうに思う。
この場合のプライベートというのは、会社所有とかではなく、個人がやってるハイヤーという意味なのだろうか?
なんとなく、その解釈があっていそうで、日本でイメージかるハイヤー=高級車とは違って、小型のしかも中古車のような車も混じっている。

町の北西側は移民の多いエリアのようで、トルコ系や中近東系、北アフリカ系の雑貨店が目立つ。
たぶん出身地から検討つけてモスリムが多いエリアなんだろうけど、ハラルフードと書かれた食堂もあるにはあるが、モスクは見かけなかった。
そして、雑貨店の前にはビールなどのアルコール飲料の宣伝看板が大きく掲げられている。
水たばこの器具を並べた店はなんとなくアラブっぽいし、アラブ風の料理を食べさせる店もあるが、ハンバーガーやピザなどのファーストフードの店のほうが幅を利かせているようだ。
もつとも、ピザ専門店ではなくトルコ風にケバブもメニューに並んでいる。

移民地区
[このあたりには移民たちの店が多く並ぶ]

続いて駅へ向かって歩く。
駅への道の両側には、広いお屋敷や教会がゆったりと並んでいる。
並木も樹齢何百年といった感じの大木ぞろい。
道幅も広い。

ピーターバラの駅の横にもスーパーマーケットがあった。
このスーパーはピーターバラで何カ所か見てきたスーパーの中でいちばん高級感が感じられる。
売ってるものの値段とかは詳しく調べたわけではないが、私の関心があるビールなどの値段は、他とおんなじか、むしろ少し安いくらい。
そして、嬉しいことに無料のトイレがあったので使わせてもらう。
トイレの中も清潔だった。
この期に及んでスーパーに入るのはトイレのためだけではなく、今回のイギリス旅行の土産にビールでも買って帰ろうかと考えたからで、どうせ買うのなら少しでも安く手に入れたいと思ったから。

しかし、結果的にはビールは買わずじまいだった。
この後3時過ぎの特急に乗れば、4時にはロンドンに着いてしまう。
帰りの飛行機に乗るために空港へは7時くらいに到着出来ていればいいので、ロンドンの街中で2時間くらい時間が余っている。
その時間を利用してロンドンの街をまた歩き回ってみたいと思ったから。
歩き回るのに重たい荷物は持ち歩きたくない。
ビールは重いから、買うのをやめたわけ。

駅前からまた歩き始め、街の南側へ進む。
ピーターバラの道は歩きやすいのだけれど、道路の横断は面倒。
横断歩道のないところも多いし、歩行者優先ではないようだ。
車の運転もオヤッと思うほど荒い。
特に厄介なのは交差点がロータリーになっているもので、車の流れが途切れない。
渡ろうとしても、止まってくれる車はほとんどない。

大聖堂ももう一度眺めに行く。
この大聖堂、昨日は閉まっていたが、今日は内部を開放しているようで、人が出入りしている。
入場料は徴収していないけれど、ドネーション箱が置かれている。
いくら入れればいいのかわからないし、ここでもお金を払ってまで内部見学したいという気分でもない。
大聖堂の外から眺めているだけで満足してしまっている。

ピーターバラ大聖堂
[この大聖堂は何度見ても迫力がある]

大聖堂の敷地の周りにはアジサイが咲いていた。
アジサイの色は日本のアジサイと比べると少し地味な色合いだった。
地味なのはもう8月で花の盛りの時期が過ぎたからかもしれない。

アジサイ
[小雨降る日はアジサイが似合う]

午後2時になり、宿屋へ戻って荷物を回収し、空腹を感じないけど、食べ残していたフランスパンを広場のベンチに腰掛けて食べる。
パンは食べずに持ち歩いていてもしょうがない。
だいぶ硬くなってしまったパンを噛みちぎっていたら、ガシャンと後ろから音がした。
振り返ってみたら、電動キックボードが歩いている女性にぶつかったようだ。
女性も転んで、周囲の人に抱え起こされているところだった。
電動キックボードの男性は何やら言い訳めいたことを言っている。
この電動キックボード、ロンドンでもそうだったけれど、歩道を我が物顔で走り抜けていて、なんども危ないなと感じた。
スピードも結構出ているし、まともにぶつかれば重量もあるからケガをする。

広場
[月曜日、小雨、だからか人影は昨日よりずっと少ない]

15:10発のロンドン行きは新型の特急で日本の日立製。
AZUMAという日本風の愛称もある。
この特急は昨年の9月にリーズでも見かけた。
特急ではあるけれど、事前に割引切符で買っていたのでロンドンまで15ポンドで入手できた。
距離にして100キロもない区間だから、タイの物価感覚では高いけれど、日本のJRと比べたらお得な金額。
座席指定で、1号車となっているが、これは電車の最後尾だった。

特急AZUMA
[日立製の特急AZUMA]

新しい車両なので、車内も快適ではあるけれど、座席の方向は回転しないし、リクライニングもしない。
背もたれもほぼ垂直で、シートはちょっと硬め。
これで長時間だとちょっと辛いかもしれない。

シートは長距離向きではないかも
[スタイリッシュで機能的なシートだけど、長時間乗っているには辛いかも]

スピードはぐんぐんと上がり、先行していた電車を次々に追い抜く。
周りの景色もどんどん飛んでってしまうので、景色を眺めながらの旅情にはちょっと欠けている。
それでも外を眺め続けていたが、あと10分で終点のロンドン・キングスクロス駅に到着と言うのにまだまだ田園風景の中を走り続けている。
これはちょっと遅延しているのかなと思ったが、そのうち少しスピードが落ちてきて、市街地になって建物が増え始め、そしてピタリと正確にロンドンに到着した。
ロンドンの街と言うのは、あんまり広くない町なのかもしれない。

車窓
[ひろびろとした田園風景の中を快走]

バンコクのフアランポーン駅にも似たドーム式の屋根がかかるキングスクロス駅では日本人観光客を含めて、カメラを持った観光客がたくさんいた。
私はまだ見たことがないのだけれど、ハリーポターという映画で、このキングスクロス駅が出てくるのだそうだ。
私の長男も20年以上前、小学校低学年の時にハリーポターの真似を従っていた気がする。
主人公は少年のはずだから、今ではもうイイおじさんになっているのではないだろうか。

キングスクロス駅
[クラシカルな駅だけど洒落てて古臭さは感じない]

このキングスクロス駅のすぐ真横にやたら壮大な建物があった。
なにかのお役所関係の建物だろうかと思ったのだけれど、これも駅だそうで、セントパンクラス駅。
駅の建物としては、キングスクロスの何倍も豪壮な建造物。
この駅からはユーロトンネルを通るヨーロッパ行きの国際列車も発着しているらしい。

セントパンクラス駅
[この駅が作られた時は、鉄道がもっとも繁栄していたのだろう]

ロンドンには、このような大きなターミナル駅がいくつもあるけれど、それらのターミナル駅を結ぶ山手線のような電車はない。
それぞれが放射線状に勝手にロンドンから各地へ伸びているだけのようだ。
イギリスの鉄道は200年からの歴史があるから、合理性とかではかえって遅れてしまっているのかもしれない。

さて、ロンドンをキングスクロスから歩き始めて、めぼしい観光地を眺めながら2時間くらいかけてハイドパークあたりまで行くことにする。
ガラガラとキャリーバッグを引っ張り、片手でスマホのマップを確認しながら歩く。
最初に向かったのはラッセル・スクエア。
この公園に用があるのではなく、30年前に母をロンドンへ連れてきたときに泊った宿がラッセル・スクエア前にあったラッセルホテルというホテルだった。

Russel Hotel 1991
[1991年に撮影した8ミリビデオはもう色も褪せてしまっている]

マップで見ると今はキンプトンという名前に変わっている。
このホテルはものすごく重厚感のあるホテルだった記憶がある。
そこをもう一度眺めて、母を忍んでみたいと思った。

キンプトンホテル
[ホテルの名前は変わったけれど、いまも重厚感のある存在]

再訪してみて感じたのは、現在こうしてホステルや安宿ばかりを泊まり歩いているけれど、30年前の自分は随分と身分不相応なところに泊まっていたものだ。
前回のパリでも同じことを感じていた。

ラッセルの次は大英博物館へ向かう。
ここも内部見学するつもりはないけど、ただ正面から建物を眺めてみたいと思った。
博物館へ近づくと人混みが多くなってきて、キャリーバックを引きずるのが申し訳なく感じてきた。

博物館の建物そのものは先ほどのラッセルホテルやセントパンクラス駅などのようなコテコテで重量級の建造物と比べるとコリント風の柱が正面に並び、随分とすっきりした建物に思えてしまう。

大英博物館
[またいつか来ることがあれば、じっくり時間をかけて見学してみたい]

人混みは大英博物館を過ぎても続き、ミュージカルや劇場の看板に中華料理屋が目立つ通りをまっすぐ進みピカデリーサーカスに入った。
別に何があるというわけでもないけれど、観光客風の人たちであふれている。

ピカデリーサーカス
[ここに集まっている人たちの目的はなんだろう? 私と同じに有名な場所だから来ただけなのかな]

ちょっと遠回りになるけど、ピカデリーからトラファルガー広場へ向かう。
トラファルガーではライオンの像だけ見たいと思っていた。
ネコ科の動物が好きだということもある。
黒光りするライオンは口を半開きにして伏せをしている。
塔の周りにオスばかり4頭のライオンを確認してからビッグベン方向へ下っていく。

トラファルガーのライオン
[日本橋三越百貨店のライオンはこのライオンを真似たというのは本当だろうか]

旗を持ったガイドに引率されたツアー客も目にする。
オープントップの観光2階建てバスも次々に走ってくる。
ロンドンの赤い2階建てバスはどれも昔と比べるとスマートになっている。
以前の2階建てバスは旧型で、ボンネット型でそのボンネットのエンジン脇に半室の運転席が飛び出しているようなバスばかりだった。
それを見て、ロンドンの2階建てバスは当時イギリス植民地だった香港のバスよりも旧式だなと感じていた。
ところが、そんな昔の旧型2階建てバスが通りを走っているのを目にした。
これは観光用の復刻バスなのか、それとも一般の営業車なのか判然としないが、ずいぶんと懐かしいものを見た。

旧型の二階建てバス
[そういえば、東インド、カルカッタの二階建てバスはもっと旧式だった記憶がある]

ビッグベンとウエストミンスターまで来た時には、カバンの中に入れて連れ歩いているハロウィンの黒猫の片方のメガ取れかかっていて、なんだかしょんぼりしている表情になってしまった。
時刻は5時30分。
順調に歩いてくることができた。

ビッグベン前
[なんとなくしょんぼりした表情]

公園の中の道を歩いてバッキンガム宮殿の前を通り過ぎる。
衛兵の交代式を見たいような気もしたが、立ち止まらずにそのままどんどん先に進むことにする。
だいたい、正面の門から衛兵の立っているボックスまでの距離がありすぎて、衛兵はおもちゃの兵隊よりもずっと小さくしか見えない。
それでも、たくさんの観光客たちが門の柵に張り付いていた。

バッキンガム宮殿
[バッキンガム宮殿もたくさんの観光客が取り囲んでいた]

ちょうど6時、予定通りにハイドパーク角まで到達。
ここからは地下鉄に乗ってヒースロー空港へ向かうだけ。
時間的に退勤のラッシュ時間と重なっているのではないかと気にしていたけれど、地下鉄はほぼ満員ではあったけれどギュウギュウ詰めと言うようなことはなかった。
それに空港が近づくにつれて降りる人ばかりで、車内はだいぶ空いてきた。

ハンドパーク横から地下鉄に乗る
[もうあとは空港へ地下鉄で向かうだけ]

空席が目立ってきたので、そろそろパスポートとかの準備をしようかとカバンを膝の上に置いてみたら、カバンのチャックが開いている。
なにか出し入れしたときに閉め忘れていたのかもしれないなと思ったのだが、カバンの中の内ポケットのチャックも開いている。
これは変だと内ポケットをまさぐったが、あるべきはずの財布がない。
パスポートは別のポケットでこちらはちゃんとあるし、クレジットカードやイギリスの小銭類はズボンのポケットで、これらもちゃんとある。
でも、ポンドの高額紙幣やタイバーツだけでなく日本円、ユーロ、米ドル、台湾ドルや台湾の交通系カードなど、大きなお金はごっそりとなくなっている。
どうやらスリにあったようだ。
観光客などの人ごみの中をキャリーバック引きながら、スマホを手に持ち歩いていたので、目を付けられたのだろう。
おまけに財布類が入った肩掛けかばんは絶えず腰の方へ回っていて、目が行き届かなかった。
私の未熟さを露呈してしまった結果だ。
すこし言い訳をすれば、スリよりもひったくりを警戒していた。
キャリーバッグを持っているので、ひったくられても走って追いかけられない。
だからカバンをたすき掛けにしていたのだけど、まったく意味がなかった。

悔しいけど、あきらめるしかない。
警察に届けるにも時間切れ。
まぁ、パスポートがやられなかっただけ運が良かったと考えることにする。

本当は帰りの便で台北での乗継時間が4時間以上あるので、地下鉄で街のスーパーへ行って冷凍の餃子でも仕入れて帰ろうと考えていたけれど、台湾ドルも交通系カードも失ってしまったし、所持金はもう数ポンドしかない。
これではどこにも行けないので、台湾での買い物はあきらめざる負えない。

チェックインは簡単に済み、手荷物検査だけで出国検査らしいものもなかった。
お金はもうないけれど、ラウンジで無料の食事をすることはできる。
ヒースローに中華航空のラウンジはないが、指定されたラウンジはキャセイ航空のラウンジだった。

ラウンジは広くて豪華そうに見えるのだけれど、飲食物のバラエティーには欠けている気がした。
香港の飛行機なんだから、もっと本場の広東料理とかのバイキングを期待していたけれど、香港らしさはセットの飲茶と雲吞麺だけ。
飲茶も海老蒸餃子、翡翠餃子とシュウマイの三点セット。
雲吞麺のヌードルは、ちょっと茹で過ぎで柔らかかった。

このラウンジでイギリス滞在の最後に、初ギネスを飲むことができた。
これまでも何度も飲む機会があったけれど、ギネスは他のビールよりほんの少し高かったので、選ばずにいたけれど、ここでは金額のことを考える必要なくギネスを注文で来た。
以前飲んだ時はもっと苦みがあったような気がするのだけれど、記憶違いだったようで、とてもスムースな飲み口であった。

ギネスビール
[小瓶なので一気に飲み干し、もう一本もらった]

このラウンジのスタッフはほぼ全員がインド系の顔立ちをしている。
なんだかエアインディアのラウンジに迷い込んでしまったような違和感を感じる。
しかし、遠い記憶を手繰り寄せてみると、香港でも高級中華レストランの入り口にはインド人のドアボーイが立っていねことが多かった。
バンコクでも今はもうなくなってしまったかもしれないが、サイアムスクエアの中華料理屋でも恰幅のいいインド人が立っていた。

そんなインド系のバーテンからピンク色のシャンパンを注いでもらう。
ピンクのシャンパンなど久しぶりと大いに期待して口に含んだのだけれど、瓶の栓は開封して時間がたっていたのか、炭酸ガスがだいぶ抜けてしまっていて、弾けるようなキレがあまりなかった。

ピンクのシャンパン
[ロンドンの街歩きなどせず、さっさとこのラウンジへ直行すべきだったかも]

登場時刻が近づいてきたので、まだまだラウンジで飲みたいものもあったけれど、ゲートまで遠いので、腰を上げてゲートに向かって歩き出す。
搭乗ゲートにたどり着いてもまだ搭乗は始まっておらず、待合室は座るところがないくらいの混雑。
日本の大学生風グループも同じ便に乗るらしく、やたらとはしゃいで大声をあげている。
待合室は混雑しているけど、ほとんどの人は静かにしている。
そんな中でふざけて騒いでいる学生たちは目立ってしまう。
いまの日本人は自分たちは他の国の人よりマナーが良いと勝手に自惚れていたりするように散見するけど、この彼らを見ていると40年前の農協観光ご一行様の海外ツアーの再来をイメージしてしまう。

搭乗待合室
[搭乗待合室では日本語が響いていた]

機内はやはり満席。
私の隣にもまた若い女性が座った。
彼女は友人たち数人との旅行のようだけれど、みんなバラバラの席になっているようだ。
前のシートに付いているスクリーンで友人たちと盛んにチャットをしている。
帰りの便も日本人が2割くらい乗っているようだ。
私の席から通路を挟んだ隣りの三人掛け座席列の真ん中に座っているのも日本人男性だった。
彼は飛行機がゲートを離れ滑走路へ向かって動き出してから、突然隣りの通路側に座っている女性を跨いで通路へ立ち上がった。
私から「走行中は席についてないといけませんよ」と注意したが、彼にジロリに睨みつけられて、さっさとトイレへ向かっていった。
ここでもなんかルール違反で恥ずかしい思いをしてしまった。

帰りの飛行機は夜11時に飛び立って、翌日の夕方6時過ぎに台北へ到着したが、機内食は2回。
飛び立ってすぐの夕食と、到着前の朝食。
しかし、機内食の朝食を食べたらもう夕方と言うのも変な感じ。
この日、8月15日の日中はどこへ消えてしまったんだろう。
飛行機の窓はずっとブラインドが閉じたままで、そろそろ着陸と言う時になってブラインドが開いたら、夕焼けの光が機内に入ってきた。

バンコクには8月16日、つまりロンドンを出て3日目の深夜2時に到着。
入国審査もスムースに済み、荷物は"First Priority"の赤い札まで付けてもらっているので、さっさと受け取って帰宅できると思っていたのだけれど、いつまでたっても私のキャリーバッグは出てこない。
とうとう最後まで出てこなかった。
前回に続いて二度目のロストバゲージ。
一体どうなっているんだという気持ちになる。
手続きを終えたら、もう3時過ぎになってしまった。

フルーツプレート
[台北からバンコクへの機内食は特注のフルーツプレート、台湾も果物が豊富なのにリンゴとカンタロープとグアバとパイナップルばかり]

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イギリス旅行 (中編)
8月12日 (土) の続き
ロンドンから乗り込んだバスはほぼ定刻の午後1時半にピーターバラに到着した。
ピーターバラを英語で書くと、Peterboroughとなる。この字ずらだけ見るとピーターボローと読んでしまいそうになる。
サイモンとガーファンクルの大ヒット曲スカボローフェアのボローもboroughとなっているから、ピーターボローでもおかしくないとは思うんだけど、英語は難しい。

ピーターバラ到着
[ロンドンから格安な料金で運んできてくれた黄緑色のバス]

そのピーターバラのクイーンズゲートバスターミナルでバスから降りる。
そこからここでの宿までは1キロ少々、さっそくキャリーバッグを引っ張りながら歩きはじめる。
日本のガイドブックなどでもたぶん紹介されていないような田舎町で、歩いてみるとかつては多少にぎわったこともあったかもしれないけど、いまは廃れてしまった地方都市と言った感じ。
歩いている人の様子もロンドンとは違う。
年配者が目立つ。
若者もいることはいるけれど、失業していてフラフラしているのではないかと思える連中がたむろしていたりする。
あんまり雰囲気がイイとは言えないなと言うのが第一印象。
日本の地方都市とも共通するかもしれない。

ローズマリーゲストハウス
[この宿に2連泊]

ここでの宿はローズマリーゲストハウス。
棟割住宅の小さな宿。
ドアのベルを鳴らしてしばらく待つと招じ入れてもらえた。
玄関口からリビングのようなところへ通され、そこがレセプション兼食堂兼オーナー家族の居間になっているようだ。
年取った犬も一匹イスのクッションで寝ている。
宿泊代金は前払いしてあるので、何も手続きなしですぐにカギをもらえた。

部屋は2階にあり、表に面した部屋であったけれど、とても狭い。
シングルベッドが一つあるだけでほぼ部屋が一杯になってしまっている。
それでも、冷蔵庫はあり、電子レンジや湯沸かしもあってコーヒーも飲める。
シャワーとトイレもとても狭いけど、部屋に付いているだけでもありがたい。
これで1泊が30ポンドほどだからロンドンでのドミトリーベッドと同じ金額。
しかも朝食が付いている。

シングルルーム
[シングルベッドの三面が壁に接するほど狭い部屋]

時刻は午後2時。
少し曇っているが雨は降っていない。
このピーターバラは宿賃が安いところを見つけたから来ることになったけれど、事前に調べてみたらかのトーマスクック社の本社が置かれていた時期もあるらしい。
やっぱり過去には栄光があったようだ。
そして街の南側にネイネイ川という川が流れていて、その川に沿ってかつてネイネイ渓谷鉄道と言うのがあったらしく、その廃線を利用してボランティアが週末を中心にSLを運行させていると言う情報も得ていた。
ネットでその運行スケジュールを調べてみたら、今日は午後3時前後に列車の運行があるらしい。
さっそく出かけてみることにする。

宿を出て、しばらく歩くと大きな大聖堂が現れた。
巨大だし、ゴシック風で尖塔がいくつも並んで、ものすごく迫力がある。
ピーターバラには大きな大聖堂があるとは調べていたけれど、こんなに巨大とは思わなかった。
しかも12世紀の建築だという。
12世紀と言ったらまだタイではスコータイ王朝成立以前。
スコータイの遺跡とかよりも古い時代に、こんなバカでかい建物が作られていたとは驚き。

ピーターバラ大聖堂
[ちっぽけな街にこんなすごい建造物があるとは驚き]

もっとじっくり見ても良さそうだけれど、汽車の時間があるので先を急ぐ。
大聖堂敷地の表門をくぐったら、そこは広場になっていた。
そう、先日ブリュッセルのグランパリ広場のように、石畳の広場を囲むように中世風の建物が取り囲んでいて、グランパリの豪華さはないけれど、なかなかいい雰囲気。
ピーターバラに着いたときは、さびれてしまって「あんまり雰囲気がイイとは言えないな」と感じたけれど、大聖堂からこの広場まではなかなかいい感じ。
その広場からまっすぐ南へ向かってプロムナードが伸びており、土曜日ということでなのか、小さなイベントをやっていたり、音楽が聞こえてきたり、華やいだ雰囲気が漂ってる。
さびれた感じなど感じられない。
なんだかピーターバラに来てよかったなと思えてきた。

街の中央広場
[ピーターバラのグランプラスだ]

ネイネイ渓谷鉄道のピーターバラ駅は、街はずれ、ネイネイ川を渡った向こう側にあった。
駅にたどり着いたらちょうど緑色のSLが古めかしい客車を引いてホームへ入ってくるところだった。
時刻は14:50。
なかなか幸先良さそう。

タンク式機関車
[ピーターバラ渓谷鉄道で運行されているSL]

ボランティアの駅員たちも昔風の服装をしている。
このSLはポーランドから来たようで、動輪は赤色、車体は深緑色に塗られている。
運転室の横にプレートがあり、それを見てみると1959年製となっている。
ポーランドでは1959年頃でもSLを製造していたということにちょっと驚く。
当時のポーランドは社会主義だったし、石炭も産出してたからなのかもしれない。
動輪が4軸のタンク機関車。
ネイネイ渓谷鉄道には色いろな種類のSLを保存しているらしく、大型で流線型をしたSLも写真投稿されているのを見てきたけれど、いま目の前にいる機関車は小型で愛らしい。

ポーランドで戦後作られたSL
[タイのSLも緑色が多いことを思い出した]

この駅が終点になっており、ここで列車は折り返して元来た方向へ戻っていくことになる。
SLは客車から切り離されて、反対側へ連結しなおされる。
この駅にはターンテーブルはないようなので、SLは後ろ向きとなっている。
そして、15:10に出発していく。

連結切り離し
[機関車の切り離し、ピンリンク式連結器]

連結
[切り離したSLは先頭へ回って再び連結]

SLが走っている姿を写真に撮りたいと思い、駅を出て線路沿いの遊歩道を歩く。
そのうちに汽笛が聞こえ、SL列車はお尻側を前に向けた姿でこっちへ向かってきた。
私の前を歩いていた女性も汽笛を聞いて振り返り、SLの写真を撮ろうとしていた。

バック運転
[SLは後ろ向きで客車を引いてくる]

石炭が良いのかあまり煙を吐いていない。
それでも、SLが前を通過したら周辺に靄がかかったような感じになった。
SLは何両もの古い客車を引いているけれど、お客さんはあんまり乗っていないようだ。
ボランティアが運営していて、お客さんもボランティアみたいなものなんだろう。
しかし、イギリスにはこうしたボランティアが運営する鉄道がいくつもあるそうだから、イギリス人と言うのはこの手のモノがよっぽど好きなんだろう。

旧式の客車
[出自もバラバラな旧式の客車をつらねたSL列車]

この鉄道沿いと言うかネイネイ川沿いにはたくさんのトレッキングルートがあるようで、明日はそうしたトレッキングルートを歩きながらSLが走る姿を写真に撮りたいと思っている。
でも、その前に少しだけ今日のうちに歩いてみる。
さっきのSLが本日の最終便なので、もう今日はSLに出会うことはないけど、緑のトンネルのような遊歩道を歩くのは気持ちがイイ。
このネイネイ川沿い一帯が自然公園のようになっている。
花も咲いているし、プラムのような実やベリーの実も見かける。

緑のトンネル
[線路沿いの遊歩道は緑のトンネル]

しばらく歩いたところで、公園から出て、自動車の走る道へ出た。
ところどころに集落があり住宅が並んでいる。
イギリスはガーデニングの本場でもあるから、庭などよく手入れのされているお宅もある。

道端で見かけた住宅
[イギリスの人は庭自慢が多いのだろう]

のんびり歩きながらピーターバラの街へ戻るが、途中でいくつかのスーパーへ立ち寄った。
このあたりの物価の見当をつけたいと思ったのと、夕食にどんなものを買って食べるか参考にしたかったから。
LiDLという大型スーパーは、昨年オランダから船でイギリスに来た時も利用させてもらった。
店内でパンを焼いていたりした。
モノの値段はフランスやベルギーよりもさらに少し高いような気がした。
特にワインは高い感じ。
ロンドンでシードルを買ったテスコにも立ち寄ったし、他にもAsdaというスーパーにも入ってみる。
ここには自社ブランドのインスタントラーメンがあった。
これも去年イギリスでSPARというコンビニのようなスーパーでカレー風味のインスタントラーメンを買い、それを焼きそば弁当風にして昼食に食べたら結構おいしかったので、今回も明日の昼食に使えそうなインスタントラーメンがないかと物色したけれど、日本や韓国のブランドのラーメンはとても高く、またタイやインドネシアのブランドはイギリスまで来て買いたいと思わない。
結局どのスーパーでも中を見て回るだけで何も買わずに店を出てしまった。

LiDL
[郊外型大型スーパーLiDL]

歩いている途中で広場の裏側にも古い教会があるのを見つけた。
さっきの大聖堂とは比べものにならないくらいのサイズだけれど、これもなかなか趣のあるイギリスらしい教会。
この教会の周辺の建物もどこか中世風で面白い。
その建物の奥に入ってみると、ガラッと変わってモダーンなアーケード形式のショッピングセンターになっている。
この中を歩くと全然さびれた印象はない。

中央広場裏の教会
[この教会も歴史的に古そう、ピーターバラは結構すごいかも]

時刻は6時を回ったけれど、まだまだ明るくて夕方と言う気がしない。
これまでピーターバラの街の南側を歩いてみたけれど、こんどは北側へ向かって歩いてみる。
宿を出て右側へ進んでいくと、住宅街になる。
ただし、さっき見たようなガーデニングがステキな家はめっきり見られなくなり、狭い前庭にはゴミが散らかっていたりする家が目立ってきた。
このあたりは低所得者が多く住むエリアなのだろうか?
住人も北アフリカ系の顔立ちの人が多いようだ。
しかし、だからと言って治安が悪そうにも思えない。

2キロほど歩き、電車の線路を越えたところにもスーパーLiDLがある。
広い駐車場を備えたスーパーで、隣接して娯楽施設などもある。
そこへ入って今晩の夕食などを買い求めることにする。

店内の品ぞろえは、さっき入ったLiDLやAsdaの方が良いようだ。
野菜なんかも、ちょっと新鮮さで劣る。
イギリスの細いニンジンは塩ゆでして食べると美味しいので買おうかと思ったけれど、部屋にある湯沸かしポットでニンジンを茹でたりしたら不味いかと思いあきらめた。
未加工の食材類は値段的にそれ程高くないけれど、お惣菜のような類は値段が張る。
部屋にはレンジもあるので冷凍食品と言う手もある。

結局、冷凍のピザ、フランスパン、菜っ葉の袋詰め、小ぶりの桃、冷凍のスパゲティー、そしてワインを一本買う。
これだけ買えば、今晩だけでなく明日の昼食まで賄えそうだ。
もう少し野菜ものを食べたいけれど、キャベツなどもあんまり良いものがないのであきらめた。
レタスは比較的安くて、新鮮そうだったけれど、なんだかレタスって歯ざわりだけで、栄養価が低いようなイメージがある。

スーパーでそろえた食料品
[これ全部で12ポンドほど]

宿への帰り道、宿のすぐ近くの家の出窓でネコが寝ているのを発見。
今回イギリスで最初に見つけたネコということになる。
宿に戻ったのは夜8時過ぎ。
だけど、まだまだ全然明るい。

イギリスのネコ
[ネコが出窓で背中を向けて寝ている]

夕食にはピザをレンジでチンしてみたけれど、冷凍のピザはレンジではなく、オーブンで焼くべきもののようだ。
ピザの生地がパサパサで半生のような感じ。
ピザにはバンコクの空港ラウンジで分けてもらったチリパウダーを振りかけて食べる。
このピザを1枚食べただけでほぼ満腹となってしまった。
ワインは特売もので4.99ポンドであったけれど美味しかった。
スペイン南部の赤ワインで、切れがあるスッキリした飲み口のワインだった。
これはボトルの半分くらい飲んでしまった。

スペイン産の赤ワイン
[南スペインのCorbieresと言うワイン、飛行機の中で飲んだワインよりずっとおいしい]

楽しみにしていた桃は、まだ硬くてガリガリとした歯触り。
甘さも、香りも乗ってないので、しばらく放置して追熟させることにした。

8月13日 (日)
ピーターバラ渓谷鉄道の起点はワンズフォードという駅。
そこから昨日のピーターバラ駅へ今日は3本の列車が往復することになっている。
なので起点のワンズフォードまでまずは行って、そこから線路沿いにピーターバラへ歩いてくれば、合計で最大6回もSL列車と遭遇できる計算になる。
が、そのワンズフォードまでどうやって行くかが問題で、昨晩は夜中までその計画を立案していた。
ワンズフォードから数キロ先までピーターバラからバスが出ていることになっているが、時刻を検索しても出てこない。
よくよく見たら日曜日は運休となっている。
イギリスのバスは日曜日に走らないというのは一般的なのかもしれない。
では、そこまで歩いていくとすると、GoogleMapで調べると距離が11マイル、所要3時間33分と表示される。
11マイルと言ったら約18キロ。
けっこう遠い。
それに3時間半もかかるとなると、始発の10時の列車を追いかけるには、宿を朝6時くらいには出なくてはならない。
せっかく宿賃に含まれている朝食を放棄してまで、そんな遠くまで歩きたいとは思わない。
そこで、ピーターバラ周辺のトレイルマップを睨んで、少しでも近道はないだろうかと探ってみる。
GoogleMapにはトレイルは表示されないので、だいぶ迂回した距離程になっている。

さんざん考えた結論として、ネイネイ自然公園の中にあるオーバートンという駅まで行き、そこからなるべく線路伝いにワンズフォードへ行ってみることにした。
SLがオーバートンへ来るのは10:40となっているので、宿を8時に出れば間に合うはず。
朝食もゆっくり食べられるというものだ。

その朝食だけれど、朝7時に階下へ降りたら私が一番乗りだった。
狭い朝食会場にはテーブルが2つ。
周りにはアイルランドの地図や写真などがたくさん貼られている。
たぶんオーナーはアイルランドの出身なのだろう。
こうした壁の写真などを見ているとアイルランドに対する興味がわいてきて、いちど行ってみたくなる。

アイルランドだらけ
[この宿屋、壁と言う壁がアイルランドで埋め尽くされている]

ここで出される朝食はアイリッシュ・ブレクファスト、つまりアイルランド風の朝食ということらしい。
初めにパンは「白がイイか、茶色がイイか」と聞かれた。
茶色と答えて、しばらくするとブラウンブレッドのトーストが2枚出てきた。
そして3杯くらいありそうなコーヒーに、オレンジジュースもジャグで持ってきてくれた。
アイリッシュブレックファストは一つの皿に盛りつけられているが、そのボリュームが凄かった。
ベイクド・ビーン、ハッシュポテト、ソーセージ2本、ベーコン数枚、目玉焼き2個、キノコのソテー、ベイクド・トマトそしてよくわからない腸詰2種。

アイリッシュ・ブレクファスト
[ヘビー級の朝食プレート]

どれも美味しいのだけれど、サラダとか生野菜はない。
そして動物タンパク系が多い。
私の2週間分くらいの動物タンパクがこの一皿に入っている感じ。
「よくわからない腸詰」というのは、なんとなくフランスのブデンにも似ている気がする。
これは金子光春のベルギー滞在中の話の中で何度か出てきて、白ブデンと血を入れた黒ブデンがあると言ったようなことが書かれていた。
アイルランドにもブデンのようなものがあるのだろうか?
それともアイルランドもスコットランドもケルト人の土地だから、スコットランドのハギスのようなものがアイルランドにもあるのかもしれない。
結局なんだかわからないし、質問した答えが、材料に私がとても聞いたら食べられなくなってしまうようなものが含まれている可能性があるかもしれないので、怖くて聞けなかった。
肉食人種は血や内臓系などをよく食べるけど、私は聞いただけで血の気が引いて気分が悪くなってしまったりする。

物凄いボリュームだと感心していたら、隣のテーブルに70歳くらいの老人男性の二人組が座った。
そして、私と同じアイリッシュブレクファストのプレートを食べ始めた。
驚いたことに、彼ら二人はそれぞれの皿を私よりも早く平らげてしまった。
西洋人の胃袋と言うのは、いったいどんなに大きいのだろうかと感心してしまった。
私はこの一皿を食べただけで超満腹。
胃がとても苦しくなった。

予定通り、8時には宿を出発。
曇り空で、雨が降ってきても不思議ではなさそうな天気。
昨日食材を買ったLiDLへの道をそのまま更に先へ進む。
住宅街が続く。
庭付きで駐車場もある中流家庭のような家が続き、あんまり人通りもなく静かだ。
車もあまり走ってない。

しばらく住宅街の中の道を歩いていくと、迷いネコの張り紙があった。
ネコの名前はロキ、7月16日から行方不明になっているらしい。
飼い主はさぞ心を痛めてネコの帰りを待っていることだろう。

迷いネコの張り紙
[ロキや~、どこにいるんだ]

歩き始めて約1時間。
なんだか100年前そのままと言った感じの郵便局があった。
白い土壁に茅葺屋根。
それがどうも現役の郵便局らしい。
丸いポストも赤い。
今日は日曜日なのでやっていないようだけれど、中をのぞいてみたくなる。

現役の郵便局
[ロングソープ郵便局]

この郵便局の先からトレイルを歩くことになる。
幅1メートルくらいの道で、舗装されていたり、土の道だったり。
今日は1日こうしたトレイルを地図を頼りに歩くことになる。

ゴルフ場の脇を歩いていくと看板があり、ロングソープフォートレスと書かれている。
読んでみると、このあたりは今から2,000年前にローマ帝国の要塞があった場所なのだそうだ。
ヨーロッパではときどきこうしたローマ時代の遺構を見かけるが、2000年前に島国のイギリスにまで軍隊を駐屯させていたローマ帝国と言うのは、いったいどれほどの国力があったのだろうかと感心する。
そして、どうやらその土地の人たちは、こうしたローマ帝国に支配されていた歴史を誇りに感じているような雰囲気がある。
自分たちの土地はローマ時代から文明の下にあったのだと。

ローマ軍要塞の案内板
[2000年前の遺構など世界遺産級ではないのだろうか]

ゴルフ場の先でハイウェイがあり、そこに歩道橋がかかっている。
その歩道橋を渡ればもうネイネイ自然公園。
ここも緑が深く、川が蛇行しながら流れている。
緑が深いと言っても、日本やタイのように雑草が生い茂っているという感じではなく、いや雑草なんだろうけど、それが乱雑になることなくきれいに茂っている。
川沿いの景色などは北海道の原生林か湿原を流れる川を見るようだ。

ネイネイ川の支流
[水面は鏡のように周囲の緑を映している]

自然公園の中をどんどん進んでいくと、だんだん開けてきて、バーベキューができるような広場なんかがあったりする。
子供向けのアスレチックなんかもある。
そして、フェリーメドウの湖に面したところが公園の中心になっているようで案内所や売店がある。
そして、子供向けのミニトレインがあった。
とても小さなSL風の機関車があり、遊覧用の客車を引いて走るようだ。
SLの向きを変えるターンテーブルなんかまである本格施設だけれど、SLは上記で走るのではなく、形こそSLに似せているけどディーゼルエンジンの音が響いていた。

ミニトレイン
[線路は200メートルくらい続き、そこを往復する]

カフェもある。
この公園には犬連れで散歩をしている人が多いけれど、なんとこのカフェには犬用のメニューまで掲げていた。
犬たちはこんなカフェに入るのが好きなんだろうか?
イギリスの犬たちは、タイの犬たちと違って行儀がいいので、食事のマナーもちゃんとしているのかもしれない。
しかし、私からすると犬に何ポンドもするカフェメニューなど贅沢すぎるように思える。
まぁそれだけイギリスの人たちは犬を家族の一員として扱っているのだろう。
それに比べると、イギリスでのネコの存在はあんまり目立たない。
街中でもネコカフェのようなモノはまだ見かけていない。

カフェ
[お犬さま用メニューにご注目]

この周辺はキャンプ場になっているようで、それもテントを張るキャンプでなくキャンピングカーによるオートキャンプ場。
ときどきトレーラーのキャンピングカーがキャンプ場に出入りしている。
夏の短いイギリスで、こんなキャンピングカーを個人所有している人が多いというのは、イギリス人はレジャーにかけるお金の割合が大きいということだろうか、それともお金持ちが多いのだろうか。

10時過ぎ、最初の目的地オーバートン駅に到着。
この駅も綺麗に手入れされていて、駅のホームには花壇があったり、お茶が飲めるような施設があったりする。
駅にたむろする人たちは乗客なのだろうか、年配者が多い。
駅構内には、古い鉄道車両がたくさん、そして雑然と係留されている。
寝台車や木造の客車など、どれも手入れが行き届いていると言った感じではない。

オーバートン駅
[駅の花壇もボランティアによるものなのだろう]

この駅に一番列車が入ってくるのは10:40の予定。
まだ30分ほど時間があり、駅で汽車を待つより、先へ歩いて行って、牧草地か丘陵地かわからないけど、SLが客車を引いて力走しているシーンを見てみたい。
駅からまた地図を頼りに、トレイルを歩き始める。
地図上では線路に沿ってトレイルが続いているように見えるけれど、実際にはトレイルは緑のトンネルの中で、線路との間には木々が茂ったりして、近くに線路があるとは気が付かない。

ちょっとした丘を登りつめたところで、線路を越える石造りの跨線橋があった。
もう少ししたら列車がこの石橋の下をくぐっていくはず。
ここで待って、下を走るSLの写真を狙うことにした。
上手くして煙突の真上から石炭の煙と蒸気にまみれた写真が撮れるかもしれない。

ところがどうしたことか、やって来たのはSLではなく、正面から見たらタレ目のディーゼル機関車に牽かれた列車。
この鉄道のホームページにも、整備都合でSLがディーゼル機関車になったり、レールカーになったりすることもあると書かれていた。
たぶん、昨日走った緑色のSLは調子が悪くなって、今日はディーゼル機関車が代行することになったようだ。
このディーゼル機関車もSLに劣らず博物館級の年代物だけれど、やっぱり写真の被写体とするにはSLの方が好ましい。
まぁ、せめて昨日のうちに少しでも走っているSLの姿が見れていて良かった。

旧式ディーゼル機関車
[SLではなくディーゼル機関車に牽かれた列車がやって来た]

今日は列車が3往復することになっているし、一番列車までにSLの整備が間に合わなかったけど、2時間後の2番列車からはSLが走るかもしれない。
それにとにかく昨夜計画を立てて、今日はワンズフォードまで歩く気になっている。
だから、そのまままた先に向かって歩き出す。
トレイルは玉ねぎ畑の横を延々と貫いている。
ちょうど収穫期のようでトラクターが玉ねぎを掘り返している最中。
土から掘り出された玉ねぎがゴロゴロと地表に現れてくる。
そしてあたり一面が玉ねぎの臭いに包まれる。
それにしても広い畑で、歩いても歩いてもトレイルは玉ねぎ畑の中。

玉ねぎ畑
[北海道の農場を見ているようだ]

畑がようやく尽きた先には小川が流れている。
鉄道線路は小川を鉄橋で渡っているが、タイとは違って人が勝手に鉄道橋を渡ることはイギリスでは認められていないだろう。
でも、この鉄道橋以外に橋は見当たらない。
トレイルの地図を調べてみると、小川沿いに牧場を下って行くと小川を渡れるようになっている。
牧場には馬たち放牧されて草を食んでいる。
この馬たちは足首のところにフサフサとした毛が生えていて、競走馬ではないようだ。
そんな馬たちの中を小川に沿って進み、小さな橋を見つけて渡る。

牧場
[馬たちの奥に石組みの鉄道橋が見える]

小川を渡った先もまた牧草地の丘陵になっている。
草の中の道なので、どこが本当のトレイルなのか判別付きにくい場所もある。
そのうちさっきの一番列車の折り返し便がやってくる時刻になったので、トレイルから外れて牧草地の中を線路の方へ向かって進む。

当然ながらディーゼル機関車に牽かれた列車で、ディーゼル機関車なので前も後ろもなく、正面向いて客車を引いていた。
SLだったら丘陵地で煙を吐きながらバックで登ってくるような姿だったろうと想像する。

一番列車の折り返し便
[牧草の茂る丘を列車が登ってくる]

ワンズフォード駅手前でもまたネイネイ川を渡らなくてはならなかったけれど、今度は鉄道橋にしっかり歩道も併用されていた、迂回することなく渡ることができた。
橋の手前には古い貨車が何両も留め置きされている。
現役で使われている訳ではないだろうけど、これらもあんまり手入れされてなく、かなり朽ちている。
ボランティアで運営しているので、資金的にも厳しいのだろう。

古い貨車
[貨車の整備まで資金が回らないでいるようだ]

そのワンズフォード駅は堂々とした駅舎を持つ駅で、構内には整備工場もありたくさんの古い車両が係留されている。
ここからワンズフォードの集落まで数キロ離れていて、周辺にはほとんど民家もないけれど、こんな大きな駅舎があるということは、かつてこのあたりも何かで栄えていたのだろう。

ワンズフォード駅
[ネイネイ川を渡ってすぐが鉄道の基地となるワンズフォード駅]

駅構内に係留されているのはSLや作業用車両、レールカーなどあり、鉄道博物館のような感じになっている。
昨日走っていた緑色のSLもその中にいたけれど、罐に灯が焚かれている様子は見えないし、整備士がいじくっている様子もないから、今日はディーゼル機関車に任せて、寝てしまっているようだ。

車両基地
[昨日運行していた緑色のSL、今日は動かす気配なし]

緑色のSLは休眠中だったけれど、さらに小さな黒いSLがいて、こちらは罐に火が入り盛んに煙を吐いている。
しかし、本当に小さな機関車なので、とてもじゃないけど、ここの客車たちを引いて走るには非力だ。

車両基地
[奥に煙を吐いている小さなSLが見える]

そうこうしているうちに本日2番目の列車がやって来た。
やはりさっきと同じタレ目のディーゼル機関車。

2番列車
[今日はディーゼル列車しか走らせないみたいだ]

今日は駅の中でイベントを開催するようで、DJが入って、バンドが1950~60年代風の音楽を演奏したりしている。
年配者向けのイベントのようだ。
この鉄道を維持するためのパトロンがこうした年配者ばかりだとすると、将来的に財政はますます厳しくなるのではないかと思われる。
子供向けに機関車トーマスのようなペイントを施した汽車を走らせたりもしたみたいだけれど、子供ではパトロンになれないだろう。

駅のホームに古い客車が留め置かれていて、車内に入れるようになっていたので覗いてみたらば、中には鉄道模型のジオラマがあった。

鉄道模型のジオラマ
[よく出来ているけど見学者は誰もいなかった]

このワンズフォードの先にももう一つ駅があるのだけれど、そこまでの途中に線路はトンネルの中をくぐっていくようになっている。
当然ながらトンネルに中にトレイルはない。
地図とならめっこしたが、少し迂回したところにトレイルがあり、丘を越えて隣の駅まで行けそうに見える。
たったいま2番目の列車が出たところなので、次の列車まで2時間もあり、そこまで行っても走ってる列車は見られないけれど、毒食わば皿までの心境で、奥にある駅まで行こうと歩き始めてみた。

しかし、歩き出して少ししたところで高速道路にぶつかってしまった。
トレイルはこの高速道路の向こう側から始まっている。
ここを横断しなければトレイルにもたどり着けない。
日本の高速道路と違ってフェンスで仕切られているわけではないので無理やり横断しようと思えばできないこともなさそうだけれど、やっぱりそれはルール違反になりそう。
さりとて、歩道橋なども見当たらない。
これでは無理と諦めて、もと来た道を引き返すことにした。

ネイネイ川のほとりを歩き、牧草地の中を歩き、ひたすら来るときと同じトレイルを歩いて2時間後にオーバートン駅まで戻て来た。
ここで、本日の三本目の列車と出会う。
牽かれている客車の車内は往年の1等車なのだろうか、ゆったりしたソファーのような席や、個室仕立てになっていたりして豪華にも見える。
キッチンもあって、車内で軽食も食べられるようだ。
キッチンカーでは自家発電機が唸り声をあげていた。
それでも、乗客はあんまり乗っていない。
乗っている人は年配者ばかり。
このオーバートン駅から乗り込む人もいて、中には車いすの人もいた。

オーバートン駅
[客車のドアは手動の外開き、乗客は年配者が多い]

朝食のボリュームがすごかったので、お昼を過ぎてもほとんどお腹が空かない。
それでも時刻は3時になっている。
このまま何も食べなくても良さそうな気分だけれど、せっかくカバンにフランスパンに菜っ葉の袋詰め、小分けしたワインとコーヒーを持ってきているので、自然公園の縁にあったベンチに腰掛けて昼食とする。
フランスパンに菜っ葉を挟んで食べるというヘルシーメニュー。
コーヒーは冷めているけど、フランスパンとはよく合う。
自然の中で飲むワインも美味しい。
ふと菜っ葉の入っているパッケージを見てみると"1 of your 5 a day"と書かれている。
これはどういう意味だろう。
1日に必要な野菜の1/5という意味だろうか?
この一袋が250グラムだから、1日にこの5倍の野菜を食べるというのは馬じゃないんだからちょっと考えにくい。
今朝の朝食にも生野菜はなかったし、この土地の人がそんなに生野菜を日常的に食べているようにも思われない。
では、このパックの1/5が1日の野菜だよってことだとすると、摂取量が少なすぎるが現実に近い気もする。

カット野菜の袋
[野菜を食べよう]

オートンメア駅で本日の最終列車を見送る。
さてこれでネイネイ渓谷鉄道もお終い。
もうひと駅、線路沿いに歩いてネイネイ鉄道のピーターバラ駅近くでネイネイ川を渡って市内へ戻ることにする。

最終列車
[腕木式の信号がある、使われているのかよくわからないけど]

宿の近くにあるポーランド系移民のやっている小さなスーパーに入って缶ビールを一本買う。
スーパーにはポーランドのビールが何種類も並んでいる。
ポーランドのビールなどいままでまだ飲んだことがないので、飲んでみようかと言う気になったが、旧共産圏のビールは馬の小便みたいだと書かれていた本で読んだような気もしたので敬遠して、無難なフランスのビール1664というのを選んでしまった。
しかし、あとで調べてみたらばポーランドはビール大国で、ポーランドのビールは旨いと書いてある記事をネットで発見してしまった。

そのフランスビールを持って大聖堂近くの広場へ行く。
ベンチに腰掛けてビールを飲む。
良く歩いたし、ここの雰囲気も良いい。
フランスの1664というビールも旨い。
時刻は6時を回っているけれど明るく、広場ではスケートボードの練習をする若者がいた。

広場でビール
[1664というビールもすっきりして乾いた喉に嬉しい]

大聖堂の脇にはイチジクの木があり、手は届かなかったけれど大きな実がなっていた。
イチジクも食べたい果物なのだけれど、これまで見てきたスーパーでは見かけなかった。
イギリスではイチジクを売ったり買ったのする習慣がないのだろうか。

イチジク
[日本のイチヂクより数倍大きい]

夕食には昨日買った冷凍のスパゲティーを部屋備え付けのレンジで温めて食べた。
粉チーズはないけれど、唐辛子の粉末はあるので、盛大に振りかけていただく。
赤ワインも飲む。
この日に歩いた距離29.2km 48,994歩。
ずいぶん歩いたような気もするが、フルマラソンコースよりも3割も少ないようだ。
(後編へつづく)

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