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スタッフに囲まれて
1月22日 金曜日

本日は夕方の飛行機で台北へ飛ぶので、仕事は昼には上がる予定になっている。
そしてそのまま来週の火曜日まで休みを取っているのでテキパキと仕事を処理しないといけない。
一心不乱にパソコンへデータを入力していたら、
「タローさん、ちょっと話があるので来てよ」とスタッフに呼ばれた。
だいたい、シニアスタッフが私の机へ来て報告したり、相談するのがいつもの仕事やり方で、
別室に呼ばれるというのは、なにか深刻なトラブルか、私への苦言のことが多い。
シニアスタッフについて歩き始めたら、後ろからもう一人のスタッフが着いてきた。
これはまずい気配である。
このスタッフはこのところ毎日就業時間が過ぎても残って残務処理をしてくれている。
私が常日頃「残業をしなくても良いよう仕事のやり方を工夫するよう」にスタッフに言っている。
そのため一年前に比べて、スタッフは終業時刻になったらさっさと帰るようになった。
しかし、このところ業務量が大幅に増えている。
就業時間内で処理するには負担が大きくなっているのも承知しているが、
彼女たちは残業の申請をしてこない。
他のチームのスタッフは青天井のような残業をしているので、今まで私に何も言ってこなかったけれど、不満が溜まっているのだろう。
それに、私はスタッフたちの仕事を手伝ってやれるようなことはほとんどない。
手本も示さず、工夫して終業時間内に仕事を終わらせるように指示するのは、自分でも理不尽だと思っている。
気分が重いまま、しかしスタッフたちの不満を聞くことで、少しはガス抜きになるのなら、そのくらいのことは引き受けなくては、、、

ミーティングルームはガラス張りである。
空いている部屋を素通りして、一番奥の部屋へ。
なんと、ウチのチームのスタッフが全員集合している。
これは団体交渉か、はたまた人民裁判か?
私のチームは約20名ほど、そして私以外全員タイ人で、一人を除いてみんな女性である。
覚悟を決めてミーティングルームの扉を開ける。

「ハッピー・バースデイ・タローさん」
テーブルには大きなアイスクリームケーキ。

目がウルウルしてしまった。
こんな経験は初めてですよ。

以前マーケティングチームにいた時は、誕生日には取引先からいくつものケーキなどが届けられたりしたが、
いずれも義理や営業でのプレゼントだった。
そして、私が仕事を終えてキャンティーンに入ってみると、ケーキはスタッフたちに食べ散らかされ、
"Happy Birthday Taro"と書かれたチョコレートのプレートだけが無残に残っていると言う状態だった。

今のチームでは、どこからもプレセントなど届かない。
社内の仕事としても、裏方の仕事で、華やかなところなどちっともない。
私はマーケティングチームから、このチームに移った時、まるで左遷させられたような印象を受けた。

スタッフたちの待遇も、給与面を含めて、他のチームより全体的に劣っている。
そのため、スタッフは使い捨てのようなイメージがあり、辞めていくスタッフが多く、常にスタッフを募集していた。
裏方の仕事ではあっても、責任の重い仕事である。
ミスをすれば言い逃れはできない。
業務量は多く、しかも熟練と忍耐を要する。
スタッフたちは自分の仕事をこなし、辞めていったスタッフの仕事も引き受け、新人へ仕事を教える。
これでは効率が上がるわけがない。
ピーク時は、午前3時すぎまで残業をし、会社の近くに住むスタッフのアパートはまるで合宿所のような状態になっていた。
日本でなら完全にブラックだ。
私がまだマーケティングチームにいた時、ちょうど大みそかの日にある業務上のミスが発覚し、
リカバーをするため取引先に今のチームの担当者を連れて出向いたことがあった。
辛抱強く交渉してリカバーもできて、職場へ戻るとき、そのスタッフと話しながら歩いた。
30代のシニアスタッフで、色白で顔立ちの整った女性である。
持ち物もセンスの良いものを持っていて、いいところのお嬢さんのようでもある。
責任感も強くいつも夜遅くまで仕事をしていた。
日本ならセクハラで訴えられそうだけど、
「あなたはとても美人なのに、結婚されないんですね」
くだらないことを言ってしまった。
そうしたら、彼女は少しうんざりといった表情で答えた。
「仕事が忙しすぎて、恋人と出会う機会もないままにこんな歳になったゃったのよ」

もし辞めていくスタッフがいなければ、単純に効率は上がるはず。
深夜の残業などしなくても済めば、ストレスも減るだろう。
スタッフはみんな若い女性だ、私の権限で給料を上げてあげるわけにはいかないけれど、
プライベートの時間をもてるような環境にしてあげたかった。
仕事は手伝えないが、仕事のルールを見直すことや、他のチームへの渉外なら私にもできる。

半年以上前から、残業はほぼなくなった。
退職者も一人も出していない。
仕事の効率が格段に上がった、ミスは減ったし、重大なミスは皆無だ。
年末にはこれまでずっと日陰のチームだったの、初めて会社への貢献が認められて、チーム全員で表彰を受けにステージへ登った。
この一年間、本当にスタッフたちはよく頑張ってくれた。
スタッフたちには、とても感謝している。

恋人と出会う機会もなかったと言っていたスタッフは今、私の右前のデスクにいる。
毎日定時に仕事を終えて帰宅できるようになった。

アイスクリームケーキ
[アイスクリームケーキ]

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| | 03:38 PM | comments (0) | trackback (0) |
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