2015,08,22, Saturday
7月3日から5日にかけてチェンマイへ行ってきました。
10年前には住んでいたし、何年か前までは年に何度か訪問していたなじみのチェンマイでしたけれど、最近は年に一度、すっかり七夕様のような関係になってしまっています。 バンコクなんかよりずっと好きな街なんだけど、ちょっと見ないうちにどんどんと変わってしまい、私の思い出のチェンマイからどんどん遠くなってしまっている感じです。 そんなチェンマイへそれでも年に一度、七夕様の前後に訪問し、梅林先生の植樹祭に参加をしています。 今年はなかなかお誘いも来なかったし、先生のホームページも更新されていないので、心配していたところ、今年も開催とのことで、7月3日の夜、仕事が終わってからバンコク発の急行列車に飛び乗りました。 夜、10時発の列車。急行とは言ってもチェンマイに到着するのは、翌日のお昼です。 14時間以上もかかる汽車旅です。 私は汽車が好きだから、14時間でもかまわないけど、汽車好きでなかったら退屈で仕方がないことでしょう。 しかも、エアコンのない旧式の2等寝台車です。 でも、これがいいんです。 朝になるとタイ北部の山の中を汽車は進んでいるだろうし、エアコンがないから窓は開けて、風を楽しむこともできる。 夜中も、星空が見れるかもしれない。 定刻の夜10時に出発。 しばらくは各駅停車のように駅に止まる。 駅に止まるごとに乗り込んでくる人がいて、寝台が埋まっていく。 寝台のカーテンは閉めても、窓は開けたまま、埃も入ってくるし、騒音も入ってくる。 でもこれがタイの汽車らしい。 白いシーツに粉塵が降り注ぐ。 アユタヤにも止まる。 大きなバックパックを背負った西洋人も乗り込んでくる。 ワン子も乗り込んでいた。 タイ国鉄の規定ではエアコンのある車両に動物を乗せてはいけないことになっている。 しかし、この2等車はエアコンがない。 ワン子もチェンマイまで行くのだろうか? ウチのネコともこうして汽車旅がしたいけど、ウチのネコだと、じっとしていないし、14時間もの長旅だとトイレの心配もある。 午前5時を過ぎ、夜が明け始めてきた。 少し肌寒い。 薄手のタオルケットにくるまる。 窓を閉めれば良いだけだけど、窓は開けておきたい。 ベッドに寝そべりながら、刻々と色を変えながら明るくなっていく空を眺める。 ウータラデットを過ぎると、北部の山の中に入る。 ベッドに寝そべっていて、空を見ていると、しばしば大きな木が空をふさぐようになった。 日本の鉄道と違い、鉄道沿線や駅は町の中心から離れたところにある。 だから、森の中や荒野を走っていることが多い。 街中を見ることはできないけど、自然を楽しむことができるので、まるでトレッキングをしているかのようだ。 朝8時を過ぎると、ベッドをたたんで向かい合わせのシートにするところが増えてくる。 厨房車から朝食の出前も通路を行き来する。 そろそろ退屈し始める旅行者も増えてきたようだ。 裸の西洋人、彼は本国でもこうして裸で汽車に乗ることがあるのだろうか? ワン子は、お行儀良くしているけど、きっと退屈なんだろな。 朝食にパッタイを買う。 量も少ないけど、具も少ない。 パッタイらしさとは賑やかだと思うけど、このパッタイには賑やかさがない。 朝ごはんの代わりだから、こんな物でもあっさりしていて好ましい。 ランパーンの名物は観光馬車。 造花で飾られた馬車が情緒のある古都を走っている。 ランパーンの駅にはその馬車のオブジェがある。 タイの駅はこのようなオブジェに限らず、いろいろと趣向を凝らしている駅が多いように思う。 ほとんど人の乗り降りのないような駅でさえ、きれいに花壇で花を育てたり、池を作ってみたりしている。 しかも列車だって1日に何本も走ってないのだから。 ひょっとして駅員さんたちも暇すぎて、こんなことでもしてないと間が持たないのかもしれない。 なんたってタイ北部の路線で各駅停車は1日1往復しか走っていない。 たぶん、その日1日誰も乗降客がないような駅もたくさんあるのだろう。 ランバーンを出て、最後の峠を越えれば、チェンマイ盆地に入る。 峠を越えるため、一部の客車を切り離して身軽にし、しかもディーゼル機関車をもう一両連結してパワーアップ。 車窓からの景色も、変化に富んで面白くなる。 窓から吹き込む風も酸素の濃度が高いように感じられるくらいだ。 峠を下り、ランプーンを過ぎれば、ドイステープが見えてくる。 14時間半かかって12時半にチェンマイ到着。 普通の人には長すぎる汽車旅だろうけど、車窓から景色を眺めているだけで喜んでられる人には、お勧めできる汽車旅です。 |