■かれんだー■
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31       
<<前月 2016年07月 次月>>
■直近記事 20 ■
■コメント■
■カテゴリー■
■アーカイブ■
■2001-2004年の記録■
■ぶろぐ主宰者■
■ぷろぐらむ拝借■
BLOGNPLUS(ぶろぐん+)
■その他■
 
■あどみん■
ADMIN ID:
ADMIN PW:

「麗しのサブリナ」中国/韓国旅行・・新金橋Ⅱ号編
7月17日 日曜日

窓のない部屋なので、明かりを消してしまえば夜が明けても真っ暗で、外は朝なのか夜なのかわからない。そこで携帯電話で目覚ましを6時にセットして目を覚ました。
起きると同時に外へ出て朝食とする。
この宿には食堂がない。
もっとも、私の趣向からして、宿に食堂が付いていたとしても外へ出ただろう。

朝の四方路
[青島・旧市街 朝の四方路]

四方路は食事に関してはとても便利だ。
蒸篭や鍋なら湯気を吹いている店があちこちにある。
中国だし、朝食は本場の油條と豆乳をいただきたい。
本場だから期待値も高い。

油條は大きくて太い。
台湾のよりずっと太い。倍くらいはある。
豆乳は丼入り。
ただし、その丼にビニール袋がかぶせてあり、そこへ豆乳が注がれている。
これだと食器を片付ける際にビニール袋だけ捨てて、丼を洗う手間が省けるのだろう。
しかし、食べる方からするとちょっと興ざめである。
平べったいネギ入りの焼餅を食べる。
餅と言っても、日本語の餅ではなく、小麦粉で作ったパンに似たものである。
これはとても美味だった。
生地はパイのようにサクサク感があり、ネギが甘い。
塩加減もちょうどよい。
これで朝食代3元也。

油條と豆乳
[ビニール袋やプラ籠など、色気が全くない]

宿へ戻ってチェックアウトし、フロントでデポジットの100元を戻してもらう。
部屋のアメニティーは歯ブラシやシャンプーなどあったが手を付けずに残してきた。
質素な宿だったけど、家族的で暖かな雰囲気があり、悪い宿ではなかった。

バスターミナルまで歩く。
7時に宿を出て、30分もあれば着くだろうけれど、途中に何かあれば好奇心から立ち止まってしまう可能性もあるので、このくらいがちょうどよい。
日曜日の朝だけれど、街にはガラガラとキャスター付きのカバンを引きずる旅行者がたくさん歩いていた。夜行で青島へ着いたところなのだろうか。駅が近くなればなるほど、その密度は増してきた。

青島鉄道駅の時計塔
[鉄道駅の時計塔]

8時発の威海行きバスには乗客がほとんど乗っていなかった。
こんなことなら昨日のうちに切符を買っておく必要もなかったかもしれない。
ターミナルを出たバスは、青島の街中で客を拾いながら進む。
あっちに寄り、こっちに寄り、そっちではしばらく停車。
しかも、昨日空港から来た道とだいたい同じルートを走っている感じだ。
赤錆びた巨大な工場群も見える。
途中2か所ほどバスターミナルのようなところに立ち寄り、それぞれ10分くらいずつ停車したものだから、空港近くまで来たらもう10時になっていた。

青島のバスターミナル
[青島駅前のバスターミナル]

その後は高速道路に入り、ところどころ工事中の箇所もあったけれども、順調に走った。
なだらかな丘の続く田園風景。
畑の中の集落にも貧しさを感じさせるようなところはなく、牧歌的で明るい。
それは青島市内と同様にどの家の屋根もオレンジ色をしているからだろうか。
中国の家屋がみんなこんな感じだったかどうか記憶にないが、少なくとも山東省の先っぽはこんな感じだ。
明るくて、穏やかで、とてもいいと思う。

青島から威海への風景
[高速道路上の車窓より 青島から威海への風景]

田園風景の中でバスのスピードメーターは120km/hを指している。
これが制限速度のようだからスピード違反をしているわけではないようだけれど、このバスのサスペンションはあまり良くないようなので、振動は大きい。
それにエンジン音もうるさい。
今の中国は、何かにつけてなりふり構わず急ぎ足でなければ気が済まないのだろうか?
青島ののんびりした雰囲気や、高速沿いの田園風景と比較すると、なんだかそぐわない気もする。

120km/h
[スピードメーターは120km/hを指している]

振動やエンジン音や負けないくらいのボリュームでバス車内ではビデオが上映されていた。
2本ほど上映され、一本目は中国製の子供が主人公のディズニー映画だった。
中国でもディズニー映画を作っていたとは知らなかった。
ちゃんとは見ていなかったが、子供向けによくできた映画だった。
もう一本はなんとタイの青春映画だった。
主人公はプーケットに住む華僑系の女の子である。
この手の映画にはあんまり興味がないのだが、字幕スーパーは英語で、セリフは中国語に吹き替えられていた。
中国ではタイの映画も一般的に流通しているのだろうか?

高速道路の標識で威海までもう少しであることがわかる。
だんだんと開発途上の都市近郊的建物や工事現場が増えてきて、立体交差や高層アパートも出てくる。
やたらと広い道路、その両脇に建つ巨大な建築群。
威海は青島の旧市街とは全く異なり、情緒と言ったものが全く感じられない。

威海のバスターミナルに到着。
開発途上の都市にありがちなアンバランスを象徴するようなターミナルであった。
思いっきり背伸びをしているような街の真ん中で、ターミナルとは名ばかりのプレハブ建築のような簡易建物だった。

威海到着
[4時間半もかかって威海のバスターミナルへ到着]

バスを降りたとたん、カバンの肩掛けひもが切れてしまった。
このカバンは手に持って歩き回るには重すぎて、行動意欲が減退してしまいそうだ。
これは修繕するしかない。
バスターミナルの前にしゃがみ込み、針と糸を取り出して修繕作業開始。
屋外でカバン修繕するのなんて、恥ずかしい姿かもしれないが、このアンバランスな街でなら気にならない。

威海の街もバスターミナルがあるあたりが新市街で、きっと旧市街と呼ばれるところへ行けば少しは落ち着きも出てくるのだろう。
ただし、旧市街を探して散歩するほどの時間もない。
時刻はもう1時である。

まるで興味の湧くところがなさそうな威海の新市街だが、昼食を食べたいと思うが、ローカル臭でムンムンするような食堂がちっとも見当たらない。
値段だけは高そうな成金趣味のレストランはいくつかあったが、当然私の趣味ではない。
地図では近くにイオンモールがあることになっている。
そこへ行けばフードコートか何かあって、手軽にローカルフードが食べられるのではないかと考えた。

やたらとだだっ広い道
[真新しい街できれいだけど、面白みがない]

大通りをしばらく歩き、掘割の挟むような大通りを渡ったところに巨大なイオンモールはあった。
敷地に入り建物の入り口までも随分と歩いた。

威海のイオンモール
[威海のイオンモール]

内部は日曜日と言うのに閑散としている。
館内を探してみてもフードコートが見つからない。
ハンバーガーや味千ラーメンなどのファーストフードの店は1階に集まっている。
しかし、ローカルフードがない。
エスカレーターで上へ上がっても専門店ばかり、イオンのスーパーもない。
インフォメーションカウンターも見つけられなかったが、北側の殺風景な壁に張り紙がしてあった。
それによるとイオンスーパーは7月1日で営業停止となっている。
どうやらこの壁の向こうにスーパーがあったようである。
こんなことならイオンモールなんかに用はない。
さっさと船着き場へ向かう方がよさそうだ。

イオン営業停止
[営業停止を告知する貼り紙]

まったく、青島での印象があまりに良かったので、この威海とのギャップがとても大きい。
それに韓国関係の品物を扱う店が多いし、韓国料理のレストランも多い。
韓国の貿易センターのようなところもある。

大通りのバス停でバスを待つ。
台湾の市内バスと同じで、停留所の案内表示板には各路線の停車する停留所一覧が付いているので港へ行くバスの番号も簡単に探せた。
新しくてきれいなバスが次々にやってくる。
青島のバスも新しくてきれいだったが、青島ではさらにハイブリッドバスやEVのバス、さらにトロリーバスなど電気で走るバスが多くて、大通りにバスが走っていても騒音はあんまり感じなかった。
しかし、威海のバスはディーゼル車ばかりのようだ。
新車のようだがエンジン音はうるさいし、それにクラクションも頻繁に鳴らされる。

港行きと思われるバスに乗り込む。
運賃は1元。
ワンマンカーだが運転手は若い女性だった。

バスにしばらく揺られ、住宅団地が途切れ、殺風景な埋め立て地のようなところを走っている。
停留所の案内放送があるのだがまったく聞き取れない。
左手奥の方に港のようなところが見え、大型コンテナを積んだトレーラーが頻繁に行き交っている。
まだ時間はあるし、この辺で降りてみるかと適当に下車したら、背の高い雑草が生い茂る荒れ地の真ん中であった。
バスが走り去っていった方角へトボトボと歩く。

10分くらい歩いたところに、崩れかかったような民家があった。
そしてこの民家には「蘭州拉麺」と書かれているではないか。
民家の前の路上では荷車にスイカを積んで売っていた。
そう、そうなんだよ。
こんなローカルな店で昼食を食べたかったんだと、喜んでその民家の戸口をくぐったのだが、中は食堂ではなく床屋であった。
なんで床屋が「蘭州拉麺」なんて看板掲げて商売しているのか理解できないが、櫛と鋏を手にした主人に「蘭州拉麺じゃないのか?」と尋ねたら、「もう少し先にあるよ」と教えられた。
移転でもして、その後釜に床屋が入ったということなのだろうか。

さらにあと5分ほど歩いたら船のターミナルが見えてきた。
そのターミナルとは通りを挟んだ反対側に商店街があり、「蘭州拉麺」の店があった。

蘭州拉麺
[港の前にあった蘭州拉麺の店]

モスリムの店らしくメニューに豚肉を使った料理はない。
アルコール飲料もない。
店内には貼り紙がしてあって、「モスリムの習慣を尊重してください」と書かれている。
しかし、店の中には3人の韓国人男性がいて、酢豚のようなものを食べながら盛んにビールを飲んでいる。たぶん、酢豚ではなく、牛肉か羊肉なのだろうが、ビールはどうしたことだろう。
店の主人にビールは飲めるのかと質問したら、「自分で隣の店へ行って買ってきてくれ」との答えが返ってきた。
厳格なモスリムの店ではなく、かなり融通の利く「持ち込みOK」の店らしい。
さっそく隣の店へ行ってみる。
雑貨屋で冷蔵庫の中にビールが冷えていた。
ビールは威海衛ビールと言う銘柄のビールのみ。
中瓶で500cc入りが3元であった。
モスリムの店へ戻り、ビールを持ち込んだが、グラスはサービスしてくれないらしく、瓶のままビールを飲みながら写真入りのメニューをめくる。
店名にもなっている「蘭州拉麺」を注文。
メニューの写真では牛肉のスライスがたっぷり盛られていたが、実際に出てきた拉麺には、日本のラーメン屋で注文する醤油ラーメンに載っているチャーシュー程度の牛肉スライスしか入っていなかった。
これで13元。

蘭州拉麺
[牛肉ちょっぴり パクチー(香菜)たっぷり ボリュームもたっぷり]

高くも安くもないが、味は悪くなかった。
特に山椒の利いた唐辛子ペーストを入れて食べるとビールとの相性がとてもよくなった。
この威海衛ビールも青島で飲んだ生ビール同様にやたらと軽い。
青島では生ビールしか飲まなかったのでビールの成分が確認できなかったが、威海衛ビールのラベルで成分が判明した。
原料は、水、麦芽、米、ホップであり、アルコール度数は3.3%。
麦汁濃度というのがあり9°Pとなっている。
この単位がどのようなものなのかよくわからない。

威海衛ビール
[威海衛ビール まずくないが とても軽い]

食べ終えてターミナルで乗船手続きを行う。
出港は夜9時なのに、午後3時までに乗船手続きをするように指示されていた。
随分と時間をたっぷりとってくれたものだ。
まるで今日1日が乗船のために費やしてしまうような感じになっている。

客船ターミナル入り口
[威海新港ターミナル 韓国行の2航路があるらしい] 

ターミナル内で制服姿の女性係員に私の予約票を見せたらば、切符売り場の窓口へ案内された。
しかし、すでに窓口に並んでいる人を尻目に、女性係員は私の予約票を強引に窓口の中に押し込んで、中にいる窓口嬢にすぐ手続きするようにと指示してくれた。
窓口に並んでいた方たちは、訳のわからない日本人が突然割り込んできたのだから、とんだ災難なのだろう。
しかも、私の手続きには随分と時間がかかった。
ここでも山東航空のチェックインカウンターと同じように「韓国のビザがないから乗船許可が出ない」と言っている。
「日本人には韓国へ行くのにビザは不要だ」と説明しても、なかなか理解してもらえない。
「以前に韓国へ行ったことがあるのか?」と質問され、「もちろん、住んでたこともある」と答えたが、前回韓国へ行ったのは随分と昔で、6年前に発給を受けた現在のパスポートには韓国の入国スタンプがない。
窓口嬢は私のパスポートに押されているスタンプページをめくっている。
そのうちにパスポートに織り込んである台湾の「優先入国許可証」を見つけ、物珍しそうに見ている。
さらにスマホで写真まで撮っている。
一昔前だったら台湾のスパイと疑われてしまうところだが、別にお咎めを受けることはなかった。
そのうちにあちこちへ電話をし、ビザ不要と言うことが確認できたようで、私は乗船券を手にすることができた。

先ほどの女性係官に礼を言ったところ、「出国手続きは2階で3時半からだ」と教えられる。
まだ30分ほどあるので、先ほどの商店街前の路上で白桃と洋ナシを買う。

3時半からの中国出国手続きでもまた手間取った。
「韓国のビザは持っていないのか」と係官に質問され、先ほどの乗船手続きと同じ儀式が繰り返され、中国の出国印がパスポートに押される。

ターミナルの建物から船までは何百メートルか離れており、この区間はバスに乗せられる。
空港内のランプバスのようなバスに押し込まれる。
このバスは無料ではなく、ターミナル使用料の55元とは別に、バス代として8元も徴収されている。
こんなバスに押し込まれるくらいなら船まで歩いた方が快適な気がする。
それにもうこれ以上乗れないというくらいまで客が乗り込むのを待つものだから、なかなか動き出さない。

満員のバスは船の横で乗客を吐き出した。
私も押し出されるようにバスから降りた。
目の前が巨大な船の横っ腹、つまり麗しのサブリナのウエストになっていた。
やっとサブリナとご対面である。
外観は昔とあまり変わっていないようだ。
写真に収めようとカメラを向けたらば公安係官に制止された。
写真撮影禁止らしい。
こんなことならターミナルからでもサブリナの写真を撮っておくんだったと後悔する。

船内のエスカレーターで6階(Cデッキ)まで上がる。
案内カウンターで乗船券を提示して部屋の鍵を受け取る。
115号室。7階(Bデッキ)の右舷側。
船の係員たちは一概に愛想が良く、また礼儀正しい。
きちんとした丁寧な言葉遣いだった。
しかし、乗船客はあんまり品位が良さそうには見えない。
大きな荷物を引きずり、大声を上げている。

新金橋Ⅱ号 ロイヤル船室
[新金橋Ⅱ号 ロイヤル船室(旧サブリナ一等船室)]

115号室は大きな窓のあるツインルームであった。
私は一人なので、インサイドのシングルベッドの部屋だろうと思っていたので幸運に感謝した。
しかし、ツインのシングルユースである。
洗面台もシャワールームもあり、冷蔵庫とテレビも付いている。
先ほど買った白桃と洋ナシを冷蔵庫に入れる。
冷蔵庫があるんならビールも買っておくべきだった。
いやいや、国際航路だからビールなど免税価格で買えるのではないか?

船内設備と営業時間
[部屋に用意されていた案内書にあった船内設備と営業時間のおしらせ]

さて、船内の探検に出かける。
大まかな作りはサブリナ当時と大体同じようである。
ただし、8階(Aデッキ)の多目的ホールは雑魚寝の団体船室になっていたり、乗客定員を増やす改造もされている。
それと船内の照明が暗くなっているようにも感じられる。
メンテナンスも行き届いていない印象を受ける。

以前はプロムナードギャラリーになっていた場所は、今も大きく引き伸ばした風景写真などが展示され、ギャラリー風になっているが、床に敷かれたカーペットやソファーも薄汚れていて、以前のような雰囲気がなくなっている。
3世代、家族4人で冬の道東旅行をした時、長男の優泰はようやく掴まり立ちができるころで、このプロムナードギャラリーで、卒業旅行の女子高生グループに遊んでもらっていた。
いや、あれはプロムナードではなく、キッズルームだっただろうか。
もうNew Golden BridgeⅡ(新金橋Ⅱ)となった船にはキッズルームはない。

プロムナードギャラリー
[プロムナードギャラリー だいぶ薄汚れてしまっている]

展望浴場はあった。
もう入浴している人もいるらしい。
部屋にあった案内書には「出港後利用可」とあったが、出港までまだ4時間以上時間がある。
中をのぞいてみると、浴槽には湯が張られていないが、シャワーは使えるみたいであった。
案内所へ行って入浴時間を確認すると、もう入浴可能とのこと。
しかし、浴槽に湯がないけど、これは出港後に湯が入るのかと質問したが、「いいえ」とのことであった。
東京から釧路への航路で、はじめてサブリナに乗ったとき、東京港を深夜に出港してすぐこの展望浴場で入浴した。
もちろん、2つに仕切られた浴槽には湯が溢れていた。
用意されている石鹸は、まだ未使用で角の取れていない真新しいものだったことに感動したことを鮮明に覚えている。
しかし、今の船には石鹸が用意されていなかった。
そればかりか、浴槽の入り口に「ここ靴を脱いで入るように」と貼り紙がされているのに、下駄箱に靴は皆無であった。
みんな土足のまま浴室に入っている。
脱衣所だけではなく、洗い場でも靴やサンダルを履いたままだ。
こんな靴を履いたまま入浴するような乗船客相手では、浴槽に湯を張るなんてこと自体がナンセンスなのだろう。
石鹸以外に洗面器や手桶も用意されていない。
シャワーしか使えないから問題はないが、他の入浴客を見てみると、みんな入浴よりも洗濯をしに浴室へきているようだ。
浴室内の唯一の備品であるプラスチック製の丸い風呂椅子をひっくり返し、そこへ青いビニール袋を被せて湯を貯め、洗い桶の代わりとしている。
衣類も洗うし、靴も洗う。
ついでに身体も洗っている。
まったく中国人のバイタリティーには驚かされる。
こんな連中に正面勝負を挑んでも勝てそうにないなと思えてくる。

後方の甲板
[Aデッキ後方の甲板 甲板の床も補修だらけ]

私は入浴を済ませて、デッキに出たり、売店をのぞいたり、船内を引き続きウロウロする。
食堂の前にはメニューが大きく張り出してあり、カルビ焼肉やトンカツなどの料理名と値段が掲示されている。
既に食堂の営業は始まっている雰囲気。
入り口立って中を覗いていたら、ちょっとずんぐり体形の女性係員に「7時までの営業だからお急ぎください」と言われる。
外にメニューが掲示されているのに合点のいかないところだが、夕食はバイキングだけらしい。
ひとり6000ウォンとのこと。
私の時計ではまだ5時過ぎ。
まだ空腹ではないし、夕食には少し早い。
もう少し後でと思ったのだが、なんと船内は韓国時間を使うのだとかで、あと7時まで45分しかない。
出港前だけど、時計の針を韓国時間へ1時間ほど進めて夕食にする。

船内食堂
[数百人も乗っている割には食堂には空席が目立った]

食堂の構造は依然とだいたい同じに見えるが、だいぶくたびれきっている。
窓側のテーブルに着いたが、まだ出港前で、窓の外の景色は岸壁。
そこでは大きなコンテナトレーラーが頻繁に行き来し、コンテナの積み替え作業をしていた。
これも巨大なフォークリフトでコンテナを積み替えているのだが、よくぞピタリとトレーラーの荷台に填めこめるものだと感心してしまう。

窓の外は岸壁
[窓の外の景色は岸壁で行われているコンテナの積み替え作業]

バイキングのメニューは韓国料理。
ご飯にキムチにサラダ、魚フライ、サバと大根の韓国風炊き合わせ、ジャガイモの細切り炒め、鶏肉粥、スイカ。
6000ウォンだから、こんなもんだろう。
しかも皿は一人一皿で、ご飯もキムチもサバも一緒くたに盛り付ける。
汁が混じり合うので、見てくれも悪くなり、夕食と言うよりエサの時間と言った感じで雰囲気などまるでない。
が、ここでも従業員はよく働いているし、親切でもある。

ビールが飲みたいので注文したが各自持ち込み制とのこと。
売店へ走ってアサヒスーパードライの500ml缶と紙パック入り韓国焼酎を買う。
スーパードライは韓国製なのか、ハングルの表記がある。
値段は3300ウォンと、免税価格を考えていた私には随分と高く感じた。
韓国焼酎は1600ウォン。

韓国料理のワンプレートディナー
[ワンプレートに盛るとキムチの汁が皿全体へ回ってしまう]

バイキングの味については特に感想はない。
とにかく時間がないので大急ぎで食べて、大慌てで飲んだ。
しかも、ちゃっかりとお替りまでした。
が、やはり時間内に食べ終わることができなかった。
時刻は7時になり、団体客がドット雪崩れ込んできた。
私のテーブルにも中国人の中年夫妻が着いた。
どうやら7時までの営業ではなく、7時から団体客の食事時間と言うことらしい。

その団体客は私を含めた先客のバイキング食べ残しを行列作って食べることになるわけで、スイカの補充はなく、魚フライのタルタルソースも品切れ、鶏肉粥はわかめスープに変身していた。

それにしても慌てて食べたので、食べる分量もわからずで、食べ過ぎてしまったらしい。
胃が苦しい。
部屋に戻ってベッドに横になったら眠り込んでしまった。

2時間ほどで目を覚ましたら、ちょうど出港の時間であった。
出港と言っても岸壁に見送り人がいて紙テープを投げるわけでもないし、「蛍の光」が流れるわけでもない。
知らないうちに、静かに岸壁を離れていく。
甲板に出てみる。
もうすっかり夜である。
月も出ている。
威海衛の街の灯が見える。
ときどき韓国語や中国語で船内アナウンスが流れるが聞き取れない。

月夜の威海衛
[もう外は暗くなっていた 月光の下 静かに岸壁が遠ざかる]

後方のデッキでは中国人たちがビールを飲んだり、カップラーメンを食べたり、盛大に食い散らかしている。
これらは船内の売店で調達したものではなく、持ち込み品らしい。
ゴミが風に吹かれて海へ飛んでいく。

現在はNew Golden Bridge Ⅱ (新金橋Ⅱ号)と言う船名に変わっているが、船内はともかく、煙突のファンネルマークこそ変わってしまったが、外観の塗装はサブリナ当時と同じだ。
日本の中古船が海外へ流れた後も、船内に日本語表記があちこちに残っている例が多い。
タイのフェリーなんかでもよくあるケース。
しかし、この船は韓国へ渡って17年にもなるので、船内の表示類はほとんどハングルに変わってしまっている。
そこで、船内で埋もれた日本語表記を探してみることにした。

まず、私の部屋の中だが、日本語表記とは関係ないものの、テレビの横に大きな変圧器が置かれている。
注意書きに「テレビと冷蔵庫専用」と書かれているが、きっと船内の電圧はサブリナ当時と同じ100ボルトのままなのだろう。
それを韓国や中国の家電製品に対応させるために変圧器を用意しているものと推測される。

船室内の変圧器
[テレビの横には大きな変圧器]

部屋のシャワールームもよく見ると、カランに「シャワー」とカタカナ表記があった。
エライぞ。
頑張っているね、と声をかけたくなる。

カタカナでシャワー
[見えにくいところにカタカナでシャワーの文字があった]

さらに部屋のインターホンにはメーカーの「アイホン」の文字が。
探せばあるものである。

アイホン
[インターホンにはアイホンの文字 i Phoneではありません]

廊下の非常口マークも日本のモノのように見える。
文字もハングルでないし、漢字でも中国語だったら「非常口」ではなく「太平門」とか「緊急出口」になっているのじゃないだろうか。

非常口の案内
[これもサブリナ当時のままではないかと推測される]

真夜中に再び甲板に出たら星がやたらとたくさん見えた。
これでメガネの度数があっていれば、天の川も見えたのではないだろうか?
こんな星空を見上げたのは久しぶりだ。

夜の航行
[静まり返った闇の中を航行 なんだか哀愁が漂っている]

船内の団体客も寝静まり、フォワードサロンは洗濯物の物干し場と化しており、ソファーで寝ている人もいる。


韓国編へつづく

| https://chiangmaikk.com/blog/index.php?e=51 |
| | 07:30 PM | comments (0) | trackback (0) |
「麗しのサブリナ」中国/韓国旅行・・青島編
7月16日 土曜日

昨年から毎月のように遊びまわっている。
今回は昔、東京と釧路を結んでいた近海郵船のフェリーに乗ることが目的。
この航路にはサブリナとブルーゼファーと言う素晴らしい船が就航していた。何度か利用したことがある。
夏にラビットスクーターをこのフェリーに載せて北海道を走り回ったこともあるし、真冬の道東めぐりのツアーに母を含めた家族三世代で参加した時もこの航路だった。
その船が現在は韓国と中国を結ぶ国際航路に就航していることを最近知った。
乗ってみたくなった。
中国へ行くことにした。

留守番ネコ
[今回もネコは留守番です]

日付が変わった深夜午前零時過ぎ、スワナプーム空港の山東航空のチェックインカウンターに並ぶ。
団体客がやたらと多い。
99%が中国人のようだ。
彼らはチェックインカウンターに並ぶというより「群れてる」と言った感じだ。
床に座り込んでいる人も多いし、子供ははしゃぎまわるし、荷物は段ボール箱中心に、とにかく多い。
声も大きい。
スマホをいじっている人も多い。
チェックインは遅々としてなかなか進まない。
私の順番にたどり着くまで1時間もかかった。
この間ほとんどカルチャショック状態だった。

山東航空カウンター
[こんな感じで1時間も並んだんです]

搭乗手続きで「中国のビザがない」とケチが付いた。
日本人は中国へ行くのにビザは不要だと説明したら、「中国出国のための航空券を見せろ」と言う。
そんなものあるわけない。
今回の目的は中国から韓国へ船に乗ることなんだから。
ハングルで書かれた仁川行き予約書類を見せたが係員はチンプンカンプン、、、予約内容を説明したが、とにかく航空券が必要と言い張られて埒が明かない。
この山東航空には片道利用の日本人は乗ったことがないのだろうか?
タイ航空のスタッフに応援を求めて、ようやく日本人にはビザも出国用航空券も必要ないことを説明してもらう。

手荷物検査場も中国人とインド人ばかり、並んでいると後ろからグイグイと押される。
これから中国人が12億人も住んでいる土地へ乗り込むのかと思うと、なんだかゲンナリとして来てしまう。
空港内のラウンジのソファーに座った時には、どっと疲れが出てきてしまった。

夜食に飲茶
[ラウンジでは夜食に飲茶をいただく]

午前2時50分、定刻に山東航空SC4090便青島行きはゲートを離れた。
機内はやはり中国人だらけ、そして満席。
チェックインの時に極力前方の通路席を希望して、5Cと言う番号の搭乗券をもらった。
随分と若い番号なので、これはエコノミーの最前列かと期待していたが、3列目であった。
機材は新しいが、やっぱり席は狭い。
隣の席は幸いにして空席だったのは助かった。

離陸して水平飛行に移ってからも客室内の照明は暗いまま。
スチュワーデスの行き来もない。
機内サービスも一向に始める気配はない。
これは「寝てろ」と言うことなのだろうけど、初めての山東航空ではどんな機内サービスがあるのかと思うと寝られるものではない。

アパート上空
[離陸して大きく旋回したらアパートの上空に差しかかっていた この下にネコがいるんだよね]

それから2時間。
ようやく照明がともり、機内サービスが始まった。
朝食が配られる。
「サンドウィッチかホットドック」と言う。
ホットドックにしたが、熱くない。
それにホットドックなんてものではなくて、ただのソーセージパンだった。
ビールやワインなどはもともとなさそうでカートにも積まれていない。
朝食用のボックスにはヨーグルトのパックが入っていたが、スプーンが入っていない。
どうやって食べるのか悩んでしまった。

山東航空の機内食
[なんとこれが国際線の機内食とは、LCCでもないのに恐れ入りました]

朝食後はスクリーンでピデオ上映。
しかし、ヘッドセットやイヤホンが配られるわけではなく、客室のスピーカから音声が流れてくる。
まるでタイの長距離バスでのビデオ上映のようだ。
ただうるさいだけ。
他の客の中にはカップ麺を持ち込んでお湯を注いでもらっている人もいる。

機内でビデオ上映 エエメイワク
[機内でビデオ上映 エエメイワク ]

着陸態勢に入り、青島の街がぼんやりと見えてきた。
曇っているというより、霞んでいる。
高層アパート群の林立が見え、赤錆びだらけの巨大な工場が見えたら着陸。

霞んでる
[まもなく青島へ着陸、窓の外の景色が霞んでる]

中国の入国審査場も、外国人が全然乗っていないので並ぶ必要もなく、スムース。
荷物もすぐにターンテーブルから出てきた。

中国の時間で朝9時過ぎに空港ターミナルの外へ出た。
ここから市バス305番で市内へ向かうつもり。
しかし、バス停の場所がよくわからない。
とにかく、車が走っている方向へと歩き、バス停らしきところを発見。
確かにバスが走ってきては停車し、乗客の乗り降りをさせているからバス停のようなのだが、305番も来るかははっきりしない。
急ぐわけではないのでベンチに座って気長に待つことにした。
飛行機の預けタグをカバンに付けたままの男性に「305番バスのバス停はここか?」と中国語で尋ねられた。
そんなこと、私の方が質問したいことで、私も305番バスを待っているが、確かにここから乗れるかはわからないので、「よくわからない」と答えた。

305番は来た。
運転手に聞いたら市内へ行くらしい。
バスのシートはクッションのないプラスチック製で硬い。
それでも座席にありつけただけでも良かった。途中から満員となり、立っている人もギュウギュウ詰めになっている。
そんな中でも肉まんを食べている人がいる。

305番バスの車内
[空港から乗ったばかりの時はこのくらい空いていた]

バスは飛行機の窓から見た錆びだらけの巨大な工場群を抜け、アパート群を抜け、田舎からだんだんと都会へと入っていった。
バスの車窓から見ていると街路樹はプラタナスが多いようだ。
市街地に入るとトロリーバスも走っている。

中山路と言う旧市街でバスを降りる。
ここまで1時間半もかかった。
旧市街の中の繁華街なのだが、旧租界地のような雰囲気が漂っており、そして路地の細い道にもプラタナスの並木があったりして、なかなか情緒がある。
そして一昔前の中国の雰囲気も漂っている。
水餃子の店、ビールを飲ませる店など、気取ったりしゃれた店なんかではない庶民の店ばかりが路地に続いている。この雰囲気がいい。
12億の中国人の群れに入ることで憂鬱を感じていたが、どうやら青島の旧市街は私好みの街のようだ。
今夜の宿までは歩いてもすぐの距離だった。
事前にネットで予約していたが、「賓館」と書かれた安宿もたくさんある。
そうした宿は中国人専用で、外国人は泊まれないと聞いていたが、こうしたところに泊まれたら滞在費も安くつきそうだ。

旧市街 中山路で下車したところ
[バスを降りて宿へ向かう時の風景]

で、私の宿はペンションのような小さな宿で、中年夫婦が経営しているようだ。
この二人も人当たりが良い。
まだ午前中であったがすぐに部屋へ通してもらえた。
狭い部屋で窓もないのだが、まぁ、こんなもんだろう。
229元の宿泊料に保証金が100元ついて329元を払う。
保証金はチェックアウトの際に返してもらえるそうだ。
WiFiも自由に使える。
早速友人へLINEを送ろうとするが、グルグル回って送信できない。
LINE相手から着信通知は届くのだが、開いて内容を確認することができない。Google Mailもダメだった。
ネット接続はスピードも十分に出ているし、ネットで原因を調べようとしたが、Google検索も「ページを開けません」になってしまう。しかたなく、Yohooで検索したら中国ではLINEもGoogleもフェースブックも利用できないらしい。
こんな経験は初めてである。
中国の人たちはタイ人同様にやたらとスマホをいじくっている人が多いが、LINEとか使えないなんて驚きである。
でも、Skypeは使えた。
Skypeを使ってバンコクに残してきたネコとビデオトーク。
もっとも、会話なんて成立せず、専らSkypeを遠隔監視のビデオみたいに使っている。
ネコは私のベッドを占有して寝ていた。

青島のペンション風旅館
[泊まったのはこんな感じの宿屋 周囲のシックな雰囲気には似合わない]

観光案内図
[宿の壁に書かれた観光案内地図]

少し休んでから外に出る。
プラタナスの街路樹が素晴らしい。
生ビールのアルミ樽を道端積み上げてるビール屋があちこちにある。
さすが、青島はビールの本場だけのことはある。
飲みたいけど、今飲んで酔ってしまったら、眠くなってせっかくの街歩きができなくなってしまいそうだ。

街角の生ビール屋
[街角にはこんな感じの生ビール屋があちこちにあります]

丘に登ると石積みの古い気象観測所があり、周囲には遊歩道が整備されている。
気温は30度くらいあるのだろうが、湿度が低いのか木陰を歩くと暑さをそれほど感じず、気持ちがいい。
中国は大気汚染が深刻だと聞いていたが、ここ青島では空気の悪さなど感じない。

気象観測所
[気象観測所は一般開放されていないのか見学できそうになかった]

観海路と言うあたりも昔の外国人居留地だったところ見たいで、古いヨーロッパ風の低層アパートや住宅がそのまま残されている。
そして、そこには中国の人民が住んで、生活空間としている。
しかも、ゴチャゴチャと雑多な空間ではなく、落ち着きがあり、文化水準の高さを感じさせるような生活空間である。

丘の上から旧市街を眺める
[丘の上から旧市街を眺める]

昼食時なので、路上にまでテーブルを並べている食堂で食べることにした。
食堂の建物はちゃんとした2階建てで、店内でも食べられるが、木陰のある屋外のテーブルが人気のようだ。
雰囲気は中国風カフェテラスである。
注文したのは炸醤麺。
店の女主人が、「炸醤麺以外に小菜は何にするか?」と聞いてきた。
小菜を注文するより、店の前で手作りしているので、それを食べてみたい。
「じゃ、炸醤麺と水餃子とビール」と注文しなおすと、こんどは「そんなに食べきれないよ」と言われる。
青島の人は小食なのかもしれない。
私は台湾でもいつもこのくらいはペロリと食べてしまうので「大丈夫、大丈夫」と言って注文を通す。

食堂の女主人
[女主人に無理やり注文を通す]

ジョッキで生ビールを飲みながら注文の品ができるのを待つ。
ビールたが、薄味である。
コクはあまり感じないが、まずくはないし、飲みやすい。バドワイザーをさらに軽くした感じである。
日本でバドワイザーを飲んでもちょっとも美味しくないが、ハワイでチョー麺なんか啜りながら飲んだバドワイザーはえらく旨かった記憶がある。
やはり、ビールと言うのはその土地に合った味で、そこで飲むから旨いというのがあるらしい。
この青島ビールと書かれたアルミ樽から注がれた生ビールもやはりこの気候に合っているのか、ゴクゴクと飲むのに良さそうだ。

青島の生ビール
[青島の夏には木陰で飲むジョッキの生ビールが最高]

さて、出てきた炸醤麺は私の予想と大きく違った。
まず、ボリュームである。
特盛サイズで、台湾で食べているサイズの倍くらいあるし、バンコクの麺類と比べたら3倍以上だ。
炸醤麺の具はキュウリ、ニンジン、玉ネギ、ひき肉などで、味噌でまとめられている。
台湾の炸醤麺の味噌がちょっと渋くて、苦い大人の味だったのと比較して、ここのは味噌に甘みがあり、なんとなく学校給食の味のようだ。
豆板醤でも入れたくなったが、卓上には調味料の類は一切ない。
食べるのも箸だけで、レンゲが用意されていない。
中国でも北の方の人はレンゲを使わないのだろうか?

炸醤麺と水餃子
[炸醤麺に箸を着けてから写真を撮るのを思い出した なので麺がはみ出してる]

水餃子もすごかった。
隣のテーブルで餃子を包んでいるのを見ていたから、随分と大粒の餃子だなと思っていたのだけれど、そんな大粒餃子が大きな平皿に25個くらい盛られている。
これで一人前なのだろか、青島の人が小食なのかと勘違いも甚だしい。
中国の人たちは、北に行くほど大食漢になるのかもしれない。
そういえば、韓国に留学していた時、よく大学近くの中国料理屋で昼食を食べたものだ。
チャーハンにしてもチャンポンにしても、ボリュームが日本の5割増しくらいあった。
韓国の華僑の多くが山東省の出身のようだから、きっとそんなボリュームになっていたのかもしれない。当時はチャーハンもチャンポンも1000ウォンでおつりが来た記憶がある。

が、水餃子のボリュームに唖然としていたが、正気に戻ったら餃子のタレがない。
タレなしで食べるとも思えないので、女主人にタレをお願いしたら、ニンニク汁のようなものを持ってきてくれた。酢や醤油で各自調合してタレを作るという風習はないのかもしれない。
ニンニク汁ではちょっときついので、辣椒醤だけでももらおうとしたら、「辛いよ、あんた韓国人?」と聞かれる。
タイに住んでる日本人だと答えたが、青島では辛い物を食べるのは韓国人と言う認識があるのかもしれない。
それでも辣椒醤を少しだけもらって、水餃子をいただく。

山東省の餃子のタレ
[ニンニク汁の餃子ダレに辣椒醤を入れてもらう]

執念でほぼ間食したが、満腹でどうにも苦しくなった。
苦しくて、席を立つ気にさえなれない。
このまま宿へ帰って寝てしまいたいとも思ったが、気力を振り絞り、腹をさすりながら宿とは反対方向へ向かって歩き出す。
坂を下っていくとやがて海が見えてきた。

三輪乗用車
[かわいらしい軽三輪乗用車 旧市街の街並みに似合っている]

青島はビールと並んで中国では海水浴場として有名らしい。
海岸線に沿って遊歩道が続き、たくさんの人で埋まっている。
遊覧船の客引きもいる。
しかし、海岸線で砂浜はほとんどなく、泳いでいる人も見当たらない。
海面には緑色の海藻が漂っている。
海の水そのものはあまりきれいとは思えない。
沖にはたくさんの船が停泊しており、ねずみ色の軍艦もいる。
左手には丘を埋め尽くすオレンジ色の屋根で統一された家並が見えて、風景としては美しい。

青島の海岸
[ここが中国とは思えないような景色です]

遊歩道の人をかき分けながらさらに歩く。
貝殻細工を売っている。
アイスキャンディーを売っている人が多い。
スマホで自撮りは至る所で展開されている。
自撮り棒も売っている。
みんな地元の人ではなく、観光客で中国のどこかから来た人たちなのだろう。
記念写真やもいて、1分で仕上げると書いてあるが、お客はあまりいそうにない。
青島は観光地なのだろう。

青島の海岸
[でも、大勢の人で混雑している様子は中国そのもの]

PRINCE HOTELという戦前の建築様式のホテルが海に面して建っている。
古いホテルなのだろうが、改装されて現在でも洒落た印象の高級ホテルのようだ。
そのホテルの先には、海の沖へ延びる長い桟橋があり、桟橋の先には赤くて大きな中国風の亭がある。
ここも人で埋まっているのが見える。
桟橋の向こう側は狭いながらも海水浴場になっていた。
砂浜も海水浴客で埋まっている。
泳いでいる人は少なく、ほとんど波打ち際で遊んでいる人や砂浜でゲームをしている人たちである。
あまりに人口密度が高すぎるため、スペースを確保できないからか、ビーチマットを広げているような人の姿は見られない。

混雑する浜辺
[ビーチでのんびりなどはできそうにありません]

覆面海水浴客
[覆面をかぶった中年女性海水浴客も青島の名物になり始めています]

青島駅前に出る。
堂々とした立派な建物の駅である。
昔のドイツが植民地統治者の威信をかけて建築したような、時計塔のあるゴシック風の駅舎である。

青島駅
[威風堂々の青島駅 こんな駅からの汽車旅をしてみたい]

このあたりに明日行く予定の威海行きのバスが出るターミナルがあるはずなので探してみる。
そして、みつけた。
立派な鉄道駅とは裏腹に、バスターミナルはみすぼらしかった。
田舎のバスターミナル並であった。
明日の威海行きのバスの切符を買っておく。
午後3時までに港へ行かなくてはならないので、10時くらいのバスに乗ればよいかと思っていたが、威海まで4時間半もかかるという。
これは危ないと思い、朝8時のバスの切符を買っておく。
まずはこれで安心。
バス代は威海まで107元であったが、プリンタから打ち出された切符には運賃が100元と書かれている。
その後、ゆっくり歩いて宿に戻り、少し昼寝をすることにする。

ドイツ風の街並み
[宿へ戻る途中のスナップ 漢字の看板がなければドイツの街並みと見間違いかねません]

目が覚めると6時を過ぎていた。
まるで空腹を覚えない。
でも、街歩きはしたいので外へ出る。
宿の前、夕暮れ時の四方路は海鮮料理を食べさせる店が並んでいる。
どの店も、店の外にまでテーブルを並べて、客も盛大にビールを飲みながらシャコや貝などを食べている。
水餃子の店も多い、どの店も生ビールのアルミ樽を積み重ねている。
本当に青島はビールの都だ。
ここで大きなビアホールでもあれば、人気になりそう。
までミュンヘンのビアホールのように。

黄昏時の四方路
[黄昏時の宿前の四方路には安そうな食堂が並んでいる]

黄昏時の海岸線に出る。
潮が引いて、岩場が露出している。
その岩場にたくさんの人が群がって何かを探している。
貝でも獲っているのだろうか、カニだろうか、こんなものを捕るのは観光客ではなく、地元の青島っ子なのだろうか。

海岸で何かを探す人たち
[干満の差が大きいのか、昼とは景色が一変している]

長い桟橋を歩く。
こちらは夜になっても観光客でいっぱい。
午後ら見た海沿いの古いPRINCE HOTELがライトアップされている。
桟橋の先から見て、左手側は背の高い建物が林立しており、風情としては旧市街の趣のある家並の方が勝っている。

夜の桟橋
[夜になってもこれだけの人がいます]

その旧市街を海側から山手側に向かって歩く。
公園のようなところを通る。
社交ダンスをしている人がいる。
中国風のエアロビもしている。
街路灯はほとんどなくて暗い。
この暗さ、昔の中国の街は暗かった。
暗い道をライトも点けずに自転車が行きかっていた。
遠くからSLでも走っているのかドラフトの音が風に乗ってきていた。
暗さは、今の青島の旧市街も変わらないが、自転車もほとんど走っていないし、SLのドラフトなんて聞こえて来やしない。

夜の公園で社交ダンス
[暗い公園の中で社交ダンスに興じている人たち]

暗い道端のあちこちで桃を売っているのを見かけた。
桃のシーズンなのだろう。
バンコクでは白桃など高くてまず食べられない。
空腹ではないが、桃なら食べてみたい。
しかし、売っている桃を手に取ってみると、日本の桃のように爪の先で皮がむけてしまうほど熟しているわけではなく、皮を剥くにはナイフが必要だ。
雑貨屋に入ってナイフを買う。
3元也。
ついでに飲料水も買う。
これは1元也。

午後に冷やしたペットボトル入りの水を買ったときは3元もした。
ただの飲料水ではなくミネラルウォーターだったからであろうか。
1元の水には、ミネラルウォーターとは書かれておらず、台湾メーカーの名前で飲料水どだけあった。

道端の桃売り
[街のあちこちで桃を売っている]

ナイフが手に入ったので桃を買う。
少し高いかなと思ったけど、2つで8元であった。
さっそく宿へ戻って桃を食べてみる。
2つのうち一つはまだ硬くて、リンゴみたいであった。
もう一つは少しは柔らかくて桃の風味が感じられた。

青島のネコ
[青島でも何匹かのネコを見かけましたが なつっこいネコは少ないようです]

桃は食べたが、まだ夕食を食べる気になれない。
ちょっとも空腹を覚えない。
しかしこのまま寝てしまうのも残念なので、道端でビールを飲むことにする。

宿近くでビール樽を積み上げて、路上でビールを飲ませている店に寄る。
よく繁盛している。
生ビールを注文する。
つまみなし。
中ジョッキのようなジョッキに樽に付いた蛇口から直接ビールが注がれ実に簡素。
ビール屋の向かいは古い教会を改装したユースホステルになっている。
そこの宿泊客だろうか、少し褐色の肌をした若い英語を話す男女もビールを飲んでいた。
夜のプラタナスの並木の下で飲むビール、とても軽い飲み口で、ビールの苦みもコクもほとんどないし、アルコールも低そうだけれど、別に水っぽくもないし、変にアルコールを足しているわけでもなく、これはこれでバランスよく美味しい。
ビールのジョッキをお替りした。

ローカルなビアガーデン
[夜の路上で飲むビールは美味しい]

近所の人だろうか、大きな空のペットボトル持参でビールを買いに来る人がある。

ペットボトルの持参していない人は、店備え付けのビニール袋にビールを入れてお持ち帰り。
タイでもコーラなど炭酸飲料をピニールに詰め変えて店から持ち出すのは一般的だが、青島ではビールもありのようだ。
1時間ほどビールを飲みながら路上観察を楽しんだ後、ビール代6元を払って宿に引き上げる。

繁盛する夜のビール屋
[見えづらいですが 左端の男性が持っているのがビニール袋入りビール]

つづく

| https://chiangmaikk.com/blog/index.php?e=50 |
| | 07:58 PM | comments (0) | trackback (0) |
ラビットな日曜日
6月26日、朝早く成田空港へ到着した。
梅雨の最中なので雨を心配したが、晴れていた。
花小金井駅から家までは2キロ少々あり、普通はバスに乗るべき距離なのだが、次のバスまで15分くらい待ち時間があるようだったので、歩いて帰宅する。
青いアジサイがあちこちに咲いていた。

青いアジサイ
[青いアジサイ、緑の葉との取り合わせが清々しい]

今回の一時帰国ではラビットスクーターのタイヤをタイから持ち帰ってきた。
ラビットスクーターのタイヤサイズは3.50-10。
最近は日本でもみのサイズのタイヤをはいたスクーターが増えてきたので、入手に苦労しないだろうけれど、以前はなかなか手に入らず、それにとても高かった。
そのためラビットのタイヤはタイから何度か持ち帰ったことがある。
しかし、タイのタイヤは曲者で、ときどきどこのメーカーだかわからないタイヤを掴まされることがある。
過去に曲者タイヤをはかせていたら、やたらとパンクをする。
それも何か異物が刺さってのパンクではなく、チューブが擦り切れてのパンクばかりであった。
どうやらリムのサイズが規定より大きくて、ブレーキをかけるとホイールは静止しても、タイヤが空回りする現象が起きていたらしく、そのため中のチューブは激しい摩擦にさらされてしまったらしい。

帰宅をして一息ついてから、ラビットスクーターのタイヤ交換を始める。
古いタイヤをホイールから外すのに苦労する。
辛抱強くタイヤレバーでキコキコしながら古いタイヤのリムを押し下げる。
ホイールも錆び付いているので、余計に外しにくい。

ラビットのタイヤ交換

悪戦苦闘の末、古いタイヤを外すことに成功。
さて、新しいタイヤを履かせようとすると、バンコクのバイク部品屋でこのタイヤを買うときに、店のおばさんから「これはMAXXISの高級品だよ」と言われ、ちょっと高いなと思ったが、せっかく日本までタイヤを持ち込むんだからなるべく良いものにしようと言い値で買ったのだが、そのタイヤをよく見ると、MAXXISなんかではない。
タイヤの表面の仕上がりも粗悪だし、なんとなく歪んでいる。
メーカー名と思われるFKRの文字がある。
FKRなんて聞いたことがない。
タイのタイヤメーカーでかろうじて聞いたことがあるのはVEE RUBBERくらいだ。
それに"TECHNOLOGY FROM JAPAN"なんてのも書いてあるので、ますます印象が悪い。
これは部品屋のおばさんに騙された。

正体不明のタイヤ
[タイではこの手のトラブルがよくあると知っていながら確認不足]

悔しいけれど、いまさら仕方ないので、この曲者タイヤを装着する。
そのうちまた交換しることにしよう。
それにしても、あまりに悔しく、正気を失いホイールのネジの向き反対に付けてしまった。

粗悪曲者タイヤでも、前輪用であったのは不幸中の幸い。
ラビットスクーターは昔の仕様なので、前ブレーキはほとんど効かない。
つまり前回のように空転してパンクすることはないだろう。

装着完了
[曲者タイヤでも新しいタイヤはなんとなくうれしい]

早速、ラビットスクーターに乗ってみたが、ものの数百メートルも走ったところでガス欠になってしまった。
情けなくもトボトボとラビットスクーターをスタンドまで押していく。

ガソリンを満タンにして、ツーサイクルオイルも混合させたらエンジンも回り始めた。
ランラランと、ニヤケながら新青梅街道を走っていたら、突然エンジンが停止。
おやおや、ガソリンどうしたんだろう。
路肩に止めて、スターターボタンを押したら一発始動。
古いスクーターなので気分屋だからこんなこともあるのだろうと思って再発進したが、またもしばらく走ると走行中にエンジンが停止する。
停車してスターターを回せば、狐につままれたみたいにエンジンは動き出す。
そんなことを何回か繰り返しているうちに、どうやら燃料が上手くキャブレターに流れ込んでいないのだろうと判断した。
前回も同じ現象で、燃料タンクが錆びていて、その錆が燃料詰まりの原因になっていた。
燃料ホースを引き抜いてみると、コックが開いているのに燃料はポタリポタリとしか流れてこない。
タイヤの空気入れポンプで圧縮空気を送り込んで、目詰まりを排除したら、燃料は勢いよく流れてくるようになった。

その処置をしていた場所の前には、バスの車庫があり、ふと見たらば銀色の車体に紺のストライプの入ったバスが目についた。
国際観光バス!
今はもうなくなってしまったこのバス会社で高校から大学卒業まで、延べ7年間もバイトをしてきた。朝3時に起きてバイトに行き、朝の短時間だけ働いて、それから急いで学校に通っていた。
とても思い出深いバス会社だった。
そのバスが、30年の時を越えて目の前に止まっている。
感動!

国際観光バス!
[懐かしい、わが青春の国際観光バス!]

このバス会社では国際観光バスの廃車を購入したのだろうか?
平ボディーの旧型車で、塗装も昔のデザインだから、1972年以前のバスだろうか?
しかし、それにしてはちょっと車体のスタイルが違う。
国際観光バスの特徴の一つであったドア横の世界の国旗も、ちゃんとあるが、このバスに付いているのは日本の国旗だ。
国際観光バスで日本の国旗を付けているのはフルデッカーと言う背の高いバスだった。
それに、もう一つの特徴だった側面に付けた銀の馬も、銀ではなく、立体感のない馬だった。
どうやら国際観光バスのそっくりさんらしい。
このバス会社の名前は「銀河鉄道」と言うらしい。

似てるけど
[よく似てるけど、実はそっくりさんでした。]

その後、東村山の北山公園へ行って花菖蒲を見てくる。
トトロの舞台とも言われる八国山周辺は、私の子供のころ北多摩地区には珍しく水田が広がっていた。
私は小学生のころよく自転車に乗って、この田んぼでドジョウを捕まえたものだ。
ドジョウはとてもかわいい顔をしており、カメのエサであった乾燥糸ミミズを与えると水槽の中で喜んで食べていた。
そうした田んぼもすっかりなくなっており、当時の田園風景は北山菖蒲園として残っているだけになってしまっていた。

八国山
[この風景は子供のころに見ていた風景に似ている]

菖蒲祭りは既に二週間ほど前に終わってしまったようだが、まだ咲いている菖蒲もある。
またアジサイも咲いている。
日曜日と言うこともあり、親子連れがたくさん来ている。
菖蒲を見に来たというより、ザリガニを捕まえに来ているようだ。
この周辺から田んぼはなくなってしまったけれど、ザリガニと言う子供たちの友達はまだまだいるらしい。
いやむしろザリガニ捕りに夢中になっているのは、子供の親たちのようにも見受けられた。

紫のアジサイ
[このアジサイの後ろを単線の西武電車が走ります 昔の電車は赤とクリーム色だった]

| https://chiangmaikk.com/blog/index.php?e=49 |
| | 08:44 PM | comments (4) | trackback (0) |
PAGE TOP ↑